中間ストーリー20
〜劣等種の足掻き〜
 (2/4)





正男「あれ?俺は一体・・・」



エミー「正男さん?」


なんと正男はムーンライトの攻撃を食らってなどいなかった。

その一方で、壁に腰掛けている正男の前には二人の男性がムーンライトの方を向き、立っていたのだ。
恐らく正男を庇ったのはその二人のどちらかだろう。



一人は背中に剣を背負っており、両目が隠れるほど長い紺色の前髪。
もう一人は金髪のリーゼント男。武器は何も持っていない。そう・・・





ゼドルとロバート(※)であった。



※第二章で登場した超能力者のほう






ロバート「助けに来たよ」


ゼドル「ふん、相変わらず不器用な奴だな
    殺されない程度とはいえ、なぜ攻撃を避けようとしなかった」


正男「ゼドル、ロバート!」



管理人「名前被っとるやんけ


正男「いや、それは仕方ないだろww」


エミー(あのリーゼントの人、ロバートっていうの?
    でも同じ名前だと紛らわしいからそこは何とかしたいわね・・・)


正男「しかし、こんなところでお前に助けられるとはな
   なぜ俺たちがここにいるとわかった?」


ゼドル「ロバートがお前から凄まじい力の気配を感じたというのでな。
    興味深くなったから助けに来ただけだ。
    助けるといっても友情なんかじゃない、勘違いするな。
    お前は俺の獲物だからな」


正男「ゼドル・・・」



ゼドル「ところで、お前の仲間にも同じ名前の奴がいるのか」


正男「そういえばそうだよな・・・」


ロバート「でも実は僕の本名はロベルトっていうから僕のことはそう呼んでくれていいよ」


正男「なんと都合のいい展開w」


ムーンライト「チッ
       邪魔が入ったか。まあいい、相手が一人や二人増えたところで
       上層部であるこの俺を倒せやしないさw」


ゼドル「実力の差を、教えてやろう」


ゼドルとムーンライトの戦いが始まった。


ゼドル「この攻撃を避けれるか?
    サモン・ダークネス!


そう唱えた刹那、ゼドルの目の前に闇の霧が現れ、その霧は真っ黒な鳥形の飛び道具を作り出し
その飛び道具はムーンライトに向って猛スピードで突進する。しかし・・・


ムーンライト「おっと・・・(避
       なかなかの技じゃねぇか
       だが、属性銃の技に比べれば全然トロイなww」


ゼドルの技は発信棟の壁に激突し
破壊した・・・。


正男「おまえ何発信棟壊してんだよ
   ぶっ殺すぞコノヤロウ



ロベルト「まあまあ抑えて正男・・・;」


ゼドル「負け犬が何をほざいている
    そんな怪訝そうな顔は、見れたもんじゃないな」


ムーンライト「さて、次はこっちの番だぜ
       スレット・オブ・ムーンライト!!」


エミー「気をつけて!その技を食らうと体が麻痺して動けなくなる!」


ゼドル「この程度で俺がくたばるか・・・」


ムーンライトからは無数の月手裏剣のようなものが出現し
それらは彼の周りを舞い、ゼドルはうかつに近づけなくなった。


ゼドル「なかなかの腕前だ。
    以前戦った三賢神とかいう奴等と同等の実力を持っているな・・・」


正男(さんけんしん・・・?)


ムーンライト「どうした?闇の剣士の兄ちゃんよw
       怖気づいて手も足も出なくなったかww」


ゼドル「甘い!そこだ!
    ダークネス・イリュージョン!!


ムーンライト「!!」


ゼドルの目の前にまたも闇の霧が現れ、それは闇の波動へと化し ムーンライト目掛けて波動が打ち放たれる。

ムーンライトはそれを避けるため、自分から見て左へ避けようとした。
その攻撃は軽く彼の右肩に直撃したものの、短時間しか食らっていなかったため
波動の煽りによって倒れることは無かった。

多少バランスは崩したものの、彼は上手く着地したのだ。


ムーンライト「くっ・・・
       これほどの実力者が現れるとはな。
       流石に今回は骨が折れる。」


ゼドル「・・・」


ムーンライト「貴様の実力、思い知った。
       お前の事は絶対に忘れん、覚えていろ!」


ゼドル「待て!」


ムーンライトは去った。


ゼドル「くそ、逃げたか・・・」


正男「いや、逆にこっちにとっては好都合だ。
   奥に行ってさっさと発信棟を取り戻すぞ」


エミー「でもその体じゃ無茶だよ」


正男「もう大丈夫だ・・・、戦える。
   ゼドル、ロベルト。お前たちも来てくれるか」


ゼドル「それはお前に協力しろということか」


正男「ああ」


ゼドル「俺は一応目標無しに戦いだけを求め、無差別に強者と戦っている。
    そんな俺たちを連れて行って、後悔はしないのか?」


正男「今のお前からは殺気を感じられん。」


ゼドル「なぜそれがわかる」


正男「仮にお前に殺気があったとしても、傍にいるロベルトがそれを望みやしないからな」


ゼドル「・・・いいだろう、今回は付いて行くことにしよう」



〜発信棟のどっか〜


帝国兵1「いたぞ!侵入者だ!」


正男達が進むと、大量の帝国兵が現れた。
数はおよそ200ぐらい
幸い、幹部はいないようだが今の状態で正男達5人だけで倒せるものではないだろう


正男「兵士たちはみんな機械兵のほうを破壊してるから俺等だけでなんとかするしかないな・・・」


ロベルト「そうだね・・・」


こうして発信棟奪回が始まった・・・。


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〜グレード・キャニオン〜


スティール「通信は終わったかw
      なら、勝負再開だ!


浩二「来い・・・」


浩二vsスティール、第二ラウンドがスタートした。
スティールは属性攻撃を発動し、地面からは大きな光の塊が出現した。
それを浩二は平安京の力"リーフダッシュ"を用い、目にも留まらぬ速さで避ける。


スティール「まだまだだ!ホワイトホール!


スティールは白い光の渦を浩二に投げつけたが、それは無意味だった。
なぜなら・・・。


浩二「シャドー・ショット!(暗黒球を発射」


浩二による暗黒球によってスティールのホワイトホールは消されてしまったからだ。


スティール「馬鹿なっ!貴様ごときに俺の攻撃が消されるだと?」


浩二「今だ!
   シャドー・ショット!」


スティール「ふん、俺の攻撃を消したと思ったらまたその攻撃か
      二度も同じ手に引っかかるほど俺はヤワじゃないぞw」


スティールは暗黒球を目の前にして光の長剣を振り下ろし
それを切り裂く。が・・・


浩二「油断すると痛い目見るよ・・・」


スティールが切り裂いた暗黒球の中からは何と
風の刃が出現し、スティールを襲った。


スティール「何!!」


浩二「これが今回の僕に与えられた力のひとつ
   シャドーショット in トルネード・ストームだよ」


そう・・・、浩二は"集い場"の世界での力と"コントロールセンター"の世界での力を合成させたのだ。



その風の刃を食らい、跪いたスティールは浩二を睨み付け、質問をする。


スティール「貴様・・・
      一体何をした!!
      ハッ・・・、まさかさっきの通信か!一体何を聞いたのだ!!


浩二「今思えば簡単なことだった・・・。
   僕たちが戦いで使うこの"魔術"は精神を集中させることによって発動される術・・・。
   でももし、一人の人間の中に数人分の魔力が備わっているとすればどうなるか」


スティール「ああ?」


浩二「今の僕には様々な"世界"での力を授かり、幾つかの属性を同時に発動できる。
   でもその複数の"力"を合成させ、同時に発動するには条件がある。それは・・・





   それだけの人数分の精神を集中させること


スティール「世界・・・だと?
      お前まさか他の次元が存在して、なおかつその次元にも同じ自分が存在してるとでも・・・」


浩二「全部話すとごっちゃになるからね・・・。
   そろそろ終わりにしよう。

   暗黒・終焉斬!


スティール「おっと・・・(避
      今回は俺の負けにしといてやるよw
      だが、この次は負けはせん、覚悟しとけ!」


スティールは去った。


浩二「逃げられたか・・・
   でもよかった。あの連絡が無かったら今頃ぼくはどうなっていたか・・・。
   感謝するよ、ありがとう・・・





   ヨシキ


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〜その頃のキラット〜


ブライアン「体力、魔力、攻撃力といい俺とほぼ互角か・・・
      流石は"隊長"と名乗っているだけのことはある」


キラット「ふん、偽善者が何を上から目線にほざいてるんだw」


ブライアン「発信棟を取り戻しにきては俺等を偽善者扱いか、面白いw」


その時


[[CALL]]


ブライアン「アサシンからか・・・、一体なんだ?」


ピッ(トランシーバの通信に出る


アサシンの声「ブライアンか、大変だ!
       "あの鎧"を奪われて自らを暴走させた奴がいる」


ブライアン「は?それくらい自分で何とかしろよ」


アサシン「そこなんだが、俺もさっきまでそれを着用して力を使い果たしたから
     体力がもう切れてるんだ・・・
     一応他軍の奴が一人それを止めてくれているが
     恐らくこっちが不利だろう、おまえも来てくれ!」


ブライアン「・・・仕方ねえ
      ひとつ貸しだ。」


ピッ(切


キラット「ここまでのようだな・・・」


ブライアン「勝負の途中に抜けるのは望ましくはないが、これは借りだ。
      勝負はまた今度に預ける。」


ブライアンは去った。


キラット「さて、警備の続きとしよう」


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〜グレード・キャニオン ラグーン・フォレスト〜


真理「とまった・・・?」


真理はIGE軍の戦車、アザトホースと向き合って戦っていたが
燃料が切れたせいか、その戦車は動かなくなった。


真理「ふぅ、とりあえず何とかなったわね。
   急いで正治の所に戻らなくちゃ・・・。」


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〜グレード・キャニオン ラグーン・フォレスト〜


トリトン「馬鹿な・・・、俺の攻撃を受け流すとは」


正治「お前はさっき『肉弾戦で俺の動きを見切った程度でいい気になるな』とか言ってたよな
   魔力は確かにお前のほうが高いかもしれない。
   しかし若干ながら体力や瞬発力は俺の方が上だったがために
   属性攻撃を避ける力は俺のほうが優れているということだ。」


トリトン「だが逆に考えると貴様の魔力では俺を倒すことは困難だろうなw」


正治「俺の目的は貴様を倒すことではない。
   発信棟を取り戻すだけだ!」


トリトン「あの発信棟のことか。
     あれは実に便利な道具だw
     あれのおかげで我等にとって邪魔な軍の排除かつ世界支配までへの道が縮まったw」


正治「貴様・・・」


正治はトリトンを睨み付けながら言う。
このままでは負けはしないが勝てもしないだろう。

その時、トリトンの背後から人の気配がした。
その気配を感じ取ったトリトンは振り向いた。 そしてそこにいたのは浩二と戦ったスティールだった。


トリトン「貴様は、発信棟を破壊しに来たくせ者!」


スティール「ほう・・・あの発信棟の持ち主と元持ち主が揃ってるようだなw
      これは面白い戦いになりそうだww」


トリトン「・・・くそ、またここで厄介者が現れるか・・・(正治を見る
     仕方ねぇ、二人まとめてぶっ倒してやるかw」


スティール「ほう・・・できるのかw」


正治(こいつ、まさかアイツを俺の仲間だと勘違いしてるのか・・・?
   よし、ならばこの作戦でいこう・・・。)


正治「お、やっと助けがきたかw
   あとは任せたぞ!(逃」


スティール「おい逃げるな!
      まぁいい、お前を先に始末してからあいつを追うことにするかw」


トリトン「"逃げるな"って、あれは貴様らの仲間じゃないのか?」


スティール「・・・面白いことを言う奴だなw
      俺は発信棟の元持ち主キラット軍・・・ではなく、ACPの一人だ」


トリトン「面白い、戦ってやろうじゃないかw」


しかしその後、二人がどう戦い、どっちが勝利し
どう決着が付くのかが明かされることはなかった・・・。

いや、恐らく決着はつかないだろう。
二人とも魔力の限界に近づきつつあるのだから・・・。


ちなみに正治は真理の方向へ向ったため
すぐに合流することができた。


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〜その頃の正男たち〜


正男「まずい・・・体が思うように動かない」


今の正男には体力こそ残っているものの
さっきの衝撃で体が思うように動かなくなっていた。
こっちにはかなりの実力を持つゼドルやロベルトがいるが
流石に発信棟中の帝国兵や幹部全員を倒すとなると厄介だ。

と思ったが、今は心強い組織が正男達の味方をしてくれていることを忘れていた。


???「重力増加・・・」


突如現れた灰髪の男が親指を下に向けると
周囲の帝国兵士たちは体が数倍重くなったかのように動きが衰えた。


ディレイルを先頭に続くハルとレニウスも正男達の前に姿を現した。


ディレイル「全世界還元保護協会WPS中央司令部のディレイルだ。
     そしてこちらがハルとレニウスだ。お前たちを保護に来た。」


正男「お前等は確か平安京の世界にいた奴か。いや待てよ?
   ヨシキから話を聞いていたが、他の所はもういいのか?」


ディレイル「ヨシキの全体アナライズによると
      もう実力の差があるもの同士戦うことはないだろう。と」


ハル「他のところはもう終わったから
   後の使命は発信棟を元の世界の軍に戻させるだけということじゃ」


正男「そうか・・・」


正男が納得した直後、空気を読まずレニウスが正男に猛スピードで近づき
両手で正男の右手を握り、それを高速上下に動かした。


レニウス「おぉ!あんたが世界の冒険者正男か!
     こんなところで会えるとは感激だ!!」


正男「は・はぁ・・・」


ディレイル(うるさいのが現れたなぁ・・・)


ハル「話はあとじゃ。
   先にこいつらを片付けて発信棟を取り戻すのじゃ」


正男「よし」


〜〜


何とか帝国兵士を倒した。

ディレイルは倒れかけた兵士の一人にロケットランチャを向け
脅した。


ディレイル「おい、この発信棟管理の責任者は誰だ?何処にいる?」


敵兵「お・屋上・・・だ・・・。」


正男「よし!みんな屋上に行くぞ!」


一同は屋上に向って走っていく。

だが、倒れた敵兵は不気味な笑みを浮かべた。


敵兵「ふふ・・・引っかかったな・・・w グフッ(気絶」


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〜発信棟 屋上〜


正男「ここが屋上か」


発信棟屋上───
蒼き空の下で彼等は警戒しつつも責任者を探し出す
だが、辺りからは大人数の気配を感じる。
その気配は的中しており、辺りを取り囲む人垣から銃口が向けられたのだ。


ゼドル「これは罠か・・・」


帝国軍幹部「その通りだ。よく引っかかってくれたなw」


兵士たちは幹部を矛先に敬礼をした後、人垣はUの字となり
開いた部分から責任者らしき人物が現れた。


正男「お前がこの発信棟の責任者か?」


帝国軍幹部「いかにも。
      キラット軍の連中が奪回に来てることは聞いていたがここまで無警戒だったとはなw」


ロベルト「まさか、最初からここで待ち伏せを?」


帝国軍幹部「そうだ。下で兵士どもと戦って体力がくたくたになったところに
      お前たちを屋上におびき寄せて一気に始末をするという寸法だww」


エミー「汚いことを・・・」


帝国軍幹部「ん?貴様は・・・(エミーを見る
      フハハハハハ!!これは笑えるなww
      IGEの裏切り者がまだ生き延びていたとはなwww


エミー「・・・」


気のせいだろうか、キラット軍が同様を隠せない中
WPSのメンバーだけは余裕のある顔をしていた。


帝国軍幹部「貴様等も終わりだなw
      さあ兵士共、やれ!」


レニウス「果たして、そうかな?」


帝国軍幹部「何?」


レニウスが指をパチンと鳴らした瞬間
屋上の出入り口からは無数のWPSソルジャーがゾロゾロと現れ出たのだ。


帝国軍幹部「貴様等・・・」


正男「お前、いつの間に・・・」


正男は安堵した口調で言った。


ディレイル「罠に引っかかったのはお前等の方だw」


帝国軍兵士たちはザワザワと喚き始める。


ディレイル「手を上げろ!」


レニウス「ふふw
     これは前もって中の兵士を全員倒しておいて
     後に責任者の場所へと一気にソルジャーを押しかけるという作戦だw」


帝国軍幹部「汚いマネを・・・」


正男「汚いマネをしたのはどっちだ
   お前のほうだろうが!」


ハル「大人しく発信棟を返してもらおうか」


帝国軍幹部「しかたねぇ、おいお前等、引くぞ!!」


無数のWPSソルジャー達に銃口を向けられた帝国軍兵士たちは
次々と出入り口へ向い、やがて中で気絶していた兵士たちと共に姿を消したのだった。


エミー「何とか終わったね・・・」


正男「あぁ」


キラット軍の一員は何とか奪回成功したことに安堵する。


正男「さて、このことをキラット隊長に伝えなくては・・・」


正男はトランシーバを取り出し、キラットに連絡をする。


正男「もしもし、キラット隊長ですか?
   発信棟奪回に成功しました!」


キラットの声「何?それは本当か」


正男「それと、正治たちは大丈夫ですかね?」


キラット「正治や真理からは連絡きたが
     ロバートが危ないようだ。至急、援護に向ってくれ
     場所はラグーンフォレスト。キミにレーダーを渡してあっただろう。
     それを見ながら向ってくれ。
     他の奴へは俺から発信棟に戻るように連絡しておこう。
     俺も今から飛行艇ごと発信棟へ向かう。」


正男「わかりました。(いつの間にこんなものを・・・」


ピッ(切


正男「ロバートの援護へは俺が行く
   お前たちはここで待っていてくれ」


ゼドル「・・・」


ディレイル「俺たちWPSは、一旦ここを引くことにする
      あとはお前たちで何とかしてくれ」


正男「わかった」


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〜グレード・キャニオン ラグーン・フォレスト〜


レイド「制裁・・・制裁を・・・!!」


ロバート「ゼェ・・・ゼェ・・・・まずい、もう体力の限界だよ・・・」


???「ゴッド・エナジーバースト!


レイド「マグネティック・ブレス!


突如現れたブライアンの攻撃を磁界の泡で防ぐレイド


ブライアン「成る程、これが奴の実力か。アサシンが心配するのも無理は無い」


アサシン「ブライアン!」


ロバート「ブライアン・・・?」


ブライアン「待たせたな。」


???「いや、俺も参戦させろ」


ロバート「正男さん!」


正男「あいつはまさか・・・レイド?
   なぜあんなことを?」


ロバート「そこのアサシンさんという方からききました。
     あの兜には呪いがかかっていると・・・」


正男「成る程、レイドはあの兜に操られてるって事か
   よしわかった。兜破壊に取り掛かろう。」



レイド「制裁を・・・!!
    マグネティック・フィールド!!


レイドは手のひらを正男に向け
磁界で彼を引き付けようとした。


正男「まずい・・・!磁界で引き付けられる前に奴を・・・
   フレイム・スラッシュ!!


レイド「マグネティック・ブレス!


慌てたのか、レイドは磁界の泡のようなものを出現させた。
しかし、不思議なことに正男の炎によってあっさりとそれは消されてしまったのだ。


正男(・・・あっさり磁場が消えた?)


正男は疑問を抱きつつも、レイドの頭に向って炎の剣を振り下ろした
そして・・・





レイドの兜は壊れた。


ロバート「やったぁ!」


正男(何だ?俺は一人分の精神しか集中してないのになぜ俺はレイドの技をあっさりと相殺したんだ?)



レイドは一度倒れた後、正気に戻って起き上がった。


レイド「ああ・・・僕は今まで何を?」


正男「正気に戻ったかこの馬鹿」


アサシン「お前さっき兜を被ってただろ?
     あれを被ると通常より強くなれるが、その反面呪いもかかっていて
     自分の周りにいる奴を全て敵と見なしてしまうんだ。」


レイド「それもう少し早く言ってよ」


アサシン「お前が俺の説明を最後まで聞かずに被ったんだろうが!!


レイド「orz」


ロバート「ところで、どうしてアサシンさんはあの鎧を?」


アサシン「戦車から降りたらなぜか突然戦車が暴走したもんだから
     それを追ってきたんだよ。そしたら機械兵が大量にいたからそいつらと戦ってたんだが
     味方の兵士が全滅したものでな。俺も体力の限界に近づきつつあったから着たんだ。」


ロバート「暴走の件は僕も見てましたが
     そんなことがあったんですか・・・。」


ブライアン「アサシン、もういい。
      俺たちは戻るぞ。」


アサシン「そうだな」


正男「ちょっと待て、発信棟はもう俺たちが奪回した」


ブライアン「何?お前等がか・・・?
      待てよ・・・。赤い帽子・・・。青いオーバーオール・・・。
      お前ひょっとして、旧防衛軍の英雄とか言われてた正男か?」


アサシン(正男・・・?)


正男「そうだが」


ブライアン「こんな所で英雄と出会えるとは、いい時代になったものだなw
      今回は本拠地に戻って大人しくしてるが
      いつかお前と戦うことを楽しみにしてるぞ」


正男「こっちこそ、今は用事があるんでね。
   その時は思う存分相手してやるさ」


ブライアン「・・・w」


ブライアンは笑みを浮かべ、アサシンと共に去っていった。


レイド「僕の暴走を止めたのは正男か?」


正男「あぁそういえば気になったことがあるんだ。
   他の奴がお前の暴走を止めようとしても何もならなかったのに
   なぜか俺がお前を止めようとしたらあっさりと止められたんだ。」


レイド「あっさりと?」


正男「止めるというよりは、お前の属性攻撃をあっさりと消したというか・・・」


レイド「ということはもしかして正男は炎属性で僕を止めたのか?」


正男「ああ」


レイド「やっぱりか・・・」


正男「やっぱり?
   もしや俺に何かが起こったのか?」


レイド「いやそれは違う。僕の持つ磁属性は炎属性に弱い」


レイドは説明を始めた。


レイド「僕の基本能力は自らを特殊な磁石へと化し
    相手を引き付け、反発させるもの。応用すれば念力の如く軽く持ち上げることもできるけどね。」


正男「それは分かるが」


レイド「けどその磁石は高温で熱するとどうなると思う?」


正男「どうなるんだ?」


レイド「磁石にはそれぞれ"キュリー温度"というものがあって
    その温度を超えることによって分子配列が崩れ、磁力を失う


正男「つまり、俺の炎がそのキュリー温度とやらを超えて磁力が無効化したと」


レイド「したがって、僕はできるだけ炎属性の使い手との戦いは避けてるんだ」


正男(それでこいつはあの時、ルドアから避けてたのか・・・?)


レイド「さて、次のルドア打倒に役に立ちそうなアイテムを探しにでも行ってくるか・・・」


レイドは近くにあったおいさとの戦闘機に乗り
飛んで去っていった。


正男「仕方が無い、戻るかロバート」


ロバート「そうですね」


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一方、この世界から離れたWPSでは
正男、浩二に続くレギュラー2人が保護されていた。


〜WPS 東方司令部 廊下〜


ここはWPS東方司令部。
ヨシキ率いる部隊とはまた別な基地にあり、任務の内容も各司令部によって異なっている。
中央司令部の任務が"世界混雑"を起こした張本人を捕獲することであることに対し
現在、この東方司令部の任務は融合したレギュラーキャラの保護であった。
しかし、その任務も完了に近づいているため、近頃本来の任務に取り掛かることだろう。


???「ったく、いきなり俺等を呼び出しておいて何なんだよ」


今、この廊下では男のWPS東方司令部の幹部を先頭に
そのおよそ3歩分後ろにいる二人が横列でそれに続いて歩いていた。
廊下にはコツコツと足音が響く・・・。


東方指令幹部「状況は説明したじゃないか、お前等は体が融合したのだ」


???2「それは分かってるんだけど、貴方たちは何者なの?」


東方指令幹部「・・・」


東方指令幹部は???2に質問されたとき、どこか悲しそうなオーラを出し
俯きながら歩き続けた。


ちなみに、その質問をしたのは・・・



クリス。


そしてその隣にいるザトシ


東方指令幹部が俯いたのはそのクリスに質問をされたことにあるらしい。
彼はクリスと何か関係があるのだろうか・・・。

東方指令幹部は悲しみを抑えたまま、WPSについて説明をした。



東方指令幹部「・・・というわけだ。」


クリス「本当なら信じられない話だけど・・・
    実際に私たちは時空の歪みを体験したからね。」


ザトシ「その通りだ。信じてやるよ」


東方指令幹部「済まないな」


ザトシ「ところで、お前の名前は何ていうんだ?」


東方指令幹部「ヘルメスだ。」


ザトシ「そうか、よろしくな」


クリス「私もよろしくね」


ヘルメス「・・・」


クリスの言葉を聴くと彼は再び俯きだした。
ザトシはそれを吟味しているかのようにヘルメスの顔を覗き込む。


ザトシ「お前・・・クリスと何か関係があるんだな?」


クリス「私・・・?」


ヘルメス「・・・。」


3人コツコツと歩いている中
ザトシは必死に問いかけたがヘルメスは何も返事しない。


ザトシ「答えろ!何かあるんだな?」


ザトシは緊張感が募ってきたせいか、口調が徐々にエスカレートしていく・・・。



乱暴な口調に懲りたのか、ヘルメスは足を止め、体をザトシ達のほうに向けた。
それに続き、ザトシとクリスも足を止める。


ヘルメス「・・・本名、クルス=ハーグリーヴズ
     私はある世界でのクリスの兄だった者だ。」


クリス「え?」


クリスはヘルメスの顔をじっと見つめていたが
実の兄との記憶を思い出す様子は全く無かった。


ザトシ「クリスがあんたとのことを覚えてないってことは・・・





    その世界でのクリスは死んだって事なのか?


ヘルメス「その様子だとやはりお前も何も知らないようだな・・・
     わかった。全てを話そう。」








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♪Once More
from DarkFeather-BlueMoon

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