中間ストーリー15
〜戦法の穴〜 
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〜WPS本部 オペレーションルーム〜


ヨシキ「ギガッシュの世界での役目は果たしたようだな」


ミハリア「でも、例の"死神"はいなかったようですわね」


ディレイル「でもあいつは何でギガッシュの世界にはいなかったんだ?」


ハル「平安京の時、奴が言っとったな。"私は全世界の魔を刈るために世界を混ぜた"とか」


ライ「もし奴の目的が本当に魔を刈ることだとすれば、ギガッシュの世界には用はない。
    つまり魔法が存在しない世界に奴が現れる可能性は極めて低いと考えられます。」


ディレイル「ってことは今正男達がやってることは無駄ってことにならないか?」


ライ「いえ、正男達、それに私たちもですが、やっていることは決して無駄ではありません。」


ヨシキ「そうか?」


ライ「正男達がひとつの世界を旅する度にこうしてルドアの居場所が確実に絞りこめているのですから」


ヨシキ「それもそうだな。ところで、死神ルドアはどうやって捕まえるか」


ミハリア「そう、それが一番難しいところですわね」


ライ「とりあえずルドアが覚えた技数に満足するまで待つのが適切です」


一同「待つ!?」


ヨシキ「何を考えているんだライ!?そんなことをしたら逆に力を与えるってことになるんだぞ?」


ライ「それは違います。技を覚えるというのは実力向上とは異なりますよ。それにこのまま戦っても逃げられるでしょうからね」


ハル「で、奴が満足したらどうするというのじゃ?」


ライ「ルドアを満足させて隙が現れた所を襲撃するのです。
    ただそれを実行するのは覚えられない技を持った人物でないと駄目ですが・・・」


このライの言葉がこの室内にいる保護協会員の視線を変えた。


ただ一人を除いて、皆の視線がディレイルの方へと向けだした。


ディレイル「・・・俺の出番か」


ライ「ディレイルなら技を覚えられて自分の技を食らわされる心配はありませんが
    相手がルドアとなると流石のディレイルでも奴の技を見切れるかどうかが問題ですね」


ディレイル「それはそれで酷い言われようだな・・・そんなに俺は信用できねえのか?」


ライ「選択肢を選ぶ権利はちゃんと貴方にありますよ。別に貴方が行っても構いません。」


ディレイル「そこで上から目線かよ・・・まあいい。
      もちろん俺は世界を救う為に奴と戦うよ、それがWPSの掟なのだからな。」


ライ「貴方ならそう言うと思ってました。」


ライ(とりあえずここまではいい。あとは死神ルドアが何のために魔を刈ろうとしているか。
    それが分かれば、ルドアの正体が確定できるかも知れない。何か一つ、戦法の穴を塞げる手がかりさえあれば・・・。)


ライの予測、それはルドアは自分たちの世界にいた者であること。
その根拠は無いが、賢い彼のカンは断じて信用できなくはない。


丁度その頃、同じWPS本部内の総監の部屋にて・・・



???「失礼します、総監」


ラルズ「久しぶりだな、もう体のほうは大丈夫なのか?」


???「ええ、もう一月は経ったでしょうか。しばらくの間病室で寝てましたからね・・・」


ジオン「あの死神と名乗る男にでもやられたのか?」


???「そうだが・・・てかお前誰だ?」


ラルズ「・・・話の途中に割り込んでくるとはいただけないな、ジオン」


ジオン「すみません、なにやら最近はあのルドアとかいう世界のお尋ね者のせいで大問題になっているもんですからね」


ラルズ「心配することはない、その問題については中央司令部が対処してくれている。」


???「中央司令部か・・・。そういえばレイドの姿が見えませんが、そちらのほうは?」


ジオン「お前知らないのか?あいつはもうここを辞めてどっかうろうろしてやがんぞ」


???「辞めた?どういうことだ?」


ラルズ「そういえば病室には連絡されてなかったな。
    あいつはお前を救えなかったから自信がないとかいって辞退したようだ。」


???「・・・そうですか。」


総監「とりあえずお前はまず中央司令部に戻れ。レイドも今どこかの世界で動き出してる筈だ。」


???「わかりました。ですが総監、ひとつ俺のわがままを聞いてください」


ラルズ「何だ?」


???「コードネームを変えさせてください。」


ジオン「・・・どういう意味だそれは」


???「今まではパートナーを守ることしか考えずに任務を遂行していた。
   本当なら二人で協力しなければならなかったのに俺一人だけ大怪我を負って結局はレイドの足手惑いにしかならんかった。
   だからこれからの決意も兼ねて名を改める、新しい自分と向き合うために」


ラルズ「・・・わかった。但し、本当に改名するのならお前の今までのポイントは全てふりだしだ。それでもいいか?」


???「その覚悟を承知の上です、総監。俺はこれからレニウスと名乗らせていただきます。」


ラルズ「じゃあお前は中央司令部に戻れ、重要な任務が待ち受けている。」


レニウス「了解!ラルズ総監」


レニウスはラルズ総監に敬礼をした後、退室した。


ジオン「総監、どうしてあいつを中央司令部に戻すのです?」


ラルズ「戻さなかったら戻さなかったであいつはしつこく戻してくれと言ってくるだろうからな。
     何度ダメだと言ってもめげずに土下座までしてくる。あいつの仲間思いぶりには私も負けてしまう。それに・・・」


ジオン「それに?」


ラルズ「部下を愛することを形で示せなければ、総監失格だ」


ジオン「・・・らしくないですね」


ラルズ総監「何を勘違いしているのか知らんがひとつ忠告しておく
        ここは戦争を起こすための組織とは違う。全ての世界を安定させ、矛盾を残さない。そのための組織だ。
        あんな部下を捨てるようなとこと一緒にされては困る。」


ジオン「だったら俺たちで証明しようじゃないか、俺たちWPSが正義だということを」



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♪Ace Attorney: Trial (XG)
Nintendo DS「Phoenix Wright: Ace Attorney」より

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