中間ストーリー18
〜正義〜 (2/3)
スザク「ん・・・あぁ・・・ここは・・・?(目覚めて起き上がろうとする」
ファイア「テメェ!まだ生きてやがったのか!」
正男「待て!奴は戦う意思を見せていない!」
スザクは正男によってボロボロにされ、立ち上がるのがやっとだ。
彼は右膝を両手で押さえながら必死に立ち上がり
何かを悔やんでいるかのように低く、震えた声で正男に話しかける。
スザク「やるじゃねェか。俺を倒すとは大したもんだぜ」
正男「この世界を守るためだからな。正義は当然勝つ」
スザク「正義は勝つ・・・か。なぜそう言いきれるんだ?」
正男「正義が勝つのは、負けるわけにはいかないからだ!」
スザクはその言葉を聞くと
何かを思い出したかのように微笑みながら言った。
スザク「負けるわけにはいかない・・・あいつもそう言っていたな。」
正男「あいつっておいさとのことか?」
スザク「あいつは正男って奴を倒せば世界は平和になる、それこそ正義だと言っていた。
俺はその言葉を信じた。だが実際に報われることはなかった。
そしてお前に倒されて気づいたんだ、本当の正義は世界征服なんかじゃ築けないことをな」
正男「スザク・・・」
スザク「だから俺はお前を信じることに決めた。お前なら・・・本当の正義というものを教えてくれそうだ」
スザクは見とれるほどまっすぐな目をして言った。
そんなスザクを見て正男はスザク自身がどう生まれたのか、彼の正体を話すべきなのかどうか迷ったが
本当の正義は嘘なんてつかない、そう考えると話さずにはいられなくなった。
正男「スザク、実はお前は・・・」
スザク「俺はあいつの祖父によって作られた人造人間だってことは分かってるんだ。」
スザクは正男の言いたいことを打ち抜くようにそう言い
悲しそうに昔のことを語りだした。
スザク「物心ついた時、俺の目の前には一人の老人がいた。そう、おいさとの祖父、サナダタダシ(真田忠)だ。
俺はそいつを親だと思って何でも言うことと聞いていたんだ。
その理由は、俺のことを自分の子供かのように優しく接してくれたからだ。
もちろん俺もそいつのことを尊敬していた。
しかし、ある日突然そいつは姿を消し、俺は一人旅を始めた。」
正男「それから数年経って、おいさとと出会ったってわけか」
スザク「ああ、奴は自分を真田の孫と名乗った。
俺は最初、半信半疑だったが、DNA関知をすると確かに奴の孫だったんだ。」
正男「それで奴のいうことを聞いてしまったってわけか」
スザク「おいさとに騙されたとはいえ・・・俺は・・・何て事を・・・」
スザクは自分の犯した事を悔やむように拳を握り締めた。
そこへ浩二が慰めの言葉をかける。
浩二「大丈夫だよ、キミは騙されてただけなんだから。」
スザク「だが・・・」
突然、ファイアカップンが今の会話を聞き飽きたせいか怒鳴ってきた。
ファイア「テメェが何を悔やんでんのか知らねェが、俺はウジウジしてんのが嫌いなんだよ!
いつまでも過去の出来事に悔やんでねえでさっさと立って前に進め!」
有紗「ファイアカップンの言うとおりや」
スザク「お前ら・・・」
プチ「大丈夫、誰もあなたを責めたりなんかしないわ」
スザク「・・・俺はこれから機能停止したメカ共を片付けに行く。少しでも罪を償うために」
フーフー「無理はしないほうがいいよ。
もうメカは動かないとはいえ、その体じゃ無茶だよ」
スザク「大丈夫だ。人間じゃない俺に疲労なんて言葉はない」
スザクはビルから飛び降り、動かなくなったメカ破壊に向かった。
ファイア「行っちまったか・・・」
スザクが無理をしているように見えたせいか
今、このビルの屋上にいる全員が黙り込んでしまった。
数秒後、ビルの外側を見つめていたプチカップンが沈黙を破り
まるで宝石を見つけたかのようなテンションの高い声で言いながら飛び跳ねた。
プチ「みんな!あれを見て!」
プチが指した方向を向くと、皆の目には、光源による景観が目に映った。
夜景である。ナイトメアシティの中でも断然高い長さにあるこのサントラビルから見たこの光景は
皆の心を動かす程の素晴らしい景色だった。
戦っているときは全くこんな景色など目に見えなかった。
まるでさっきまでの激しい戦いが嘘のようだ───
勿論、正男と浩二もスッキリとした表情でいた。
次の世界では本当の正義など証明できないとも知らずに
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