直前ストーリー
〜明かされる真実〜



WRACの新アジト、地下にある機械兵工場、最深部にて
二人の男が立ち会っていた。


いくらバルキスの実力とはいっても、WRACの首相に勝てるはずはなかった。


ヴァック:俺に話を聞きたいと言って挑んできた割に大したことないではないかw


バルキス:何!?


ヴァック:だが、少しでも私にダメージを与えられたのもまた事実。
      ここは約束だ。冥土の土産に教えてやる。すべてをな。



明らかに馬鹿にされている。
しかし今は罵られたことよりも自分自身が何から生まれたのかが気になっている気持ちの方が大きかった。

それもあってか、バルキスは黙っていた。
そしてヴァックは語り始める。


〜〜



犯罪組織ZECTは新たな人造人間を作るため
新しい素材として必要な遺伝子を手に入れるべく、我々WRACの本拠地へと忍び込んできた。


ZECT司令官であるレックスという男の手により、WRACの実験室からその遺伝子は持ち出された。


その際、ZECTは証拠隠滅のため、WRACの本拠地を丸ごと爆破した。
本拠地のあちこちにいつのまにか時限爆弾を仕掛けていたのだ。



ZECT本拠地に戻ったレックスはその遺伝子を用い、人造人間を造り上げた。



〜〜



ヴァック:…皮肉なことに、その人造人間こそがお前というわけだ。


バルキス:そんなことはもう知っている。先ほど、ZECTのレックスが教えてくれた。


そう、あれは衝撃の告白だった。
あの時、バルキスは一瞬何を言われたのかわからなかったが
過去の記憶がないことを考えれば、十分に可能性はあった。
なので事実の飲み込みは割と早かったのだ。


しかし、それでも1つだけ、分からないことがある・・・。


バルキス:俺は前に、この男と会っているのか?


と、バルキスは少し離れたところで待機し、戦いを見守る正男の方を見やった。



過去の記憶がないはずなのに、正男や浩二、澳門など、破壊阻止軍の仲間達のことが脳裏に思い浮かんだことがある。
これはデジャヴという奴だろうか?どういった関係なのかは分からないが。



ヴァック:そうだな、折角だから全部まとめて話してやろうか。


バルキス:・・・?


ヴァック:これを言えば、全て理解できるだろうなw









そしてヴァックは、勿体ぶるように息を大きく吸い込み───











全てを丸く収めるように、ただ一言言った───






















『貴様が造られる際に使われた遺伝子の基となった人間は













                  生きていた頃、こう呼ばれていた…






















                                                                      ラムスとな。







正男:ラムスって・・・まさか・・・!!


あまりの事実に、正男は絶句した──


正男:あいつの遺伝子を使って人造人間を造るなんて、そんな馬鹿なことが・・・はっ



──そうか・・・そういうことだったのか・・・





考えてみれば、あの時気付くべきだったのだ。






〜〜


(『中間ストーリー32』より)


バルキス:ジェムオウ・ディガント・ストーム!!!


正男:うおっと…(避
    ておい逃げるな!!


しかし、もうそこにバルキスの姿はなかった。


正男:くそ、逃がしたか…


ザトシ:バルキス…あいつも見たことないし、一体何者なんだ…?


澳門:でもさっきのあいつの技、どっかで見たことあるような…。


ザトシ:本当に謎だらけだな


〜〜



ジェムオウ・ディガント・ストーム・・・



バルキスがあの時出していた技は、間違いなくラムスが使っていた技だ。




──何で、今まで気が付かなかったんだっ!!


正男は悔やむように歯を食いしばり、拳を強く握る。




バルキス:やはりな。そんなことだろうと思っていた。



正男:お前・・・まさか気付いてたのか?



バルキス:先ほど、ラムスの話をしていた時
       彼とは気が合いそうだと思っていた。行動や言葉の内容が俺と似ている気がしてな。
       あの時俺は、わざと『そのラムスという奴も〜』などと話していたが、その時にはもう既に『そうではないか』とは感じていた。



顔は似てなくとも髪の色や属性、思考回路までもがラムスと一致している。
バルキスが、ラムスの遺伝子を基に造られた人造人間であることが事実とするならもしかして・・・

正男は僅かながら、何かに期待した正男はバルキスに質問をぶっかけた。


正男:俺のこと・・・進と戦ったこととか・・・覚えているのか?


しかし、その期待は一瞬にして崩れ落ちた──


ヴァック:残念だが、ラムスを直接蘇生させたわけではない。


正男:何だって・・・?



バルキス:奴の言うとおりだ。
       俺はあくまでラムスの遺伝子を基に作られたに過ぎない存在。
       俺はラムスじゃない。断じてラムスとして蘇ったわけじゃないんだ。
       だが遺伝子繋がりで、正男たちのことはデジャヴとして写ったんだろうな。それがラムスとしてのわずかな記憶・・・。



正男:・・・



ああ、そうか・・・





記憶が飛んでいるとはいえ、ラムスが生き返ったのかも知れないと一瞬考えた後に
バルキスが同じ遺伝子を持つだけの全くの別人と知った瞬間・・・

世間でこのような状況はよくこのように解析される──




『一瞬希望を与えられた後に絶望へと落ちたときはより一層ショックは大きい』と──




ヴァック:ハッハハハ!!!!www
       なかなか良い顔をしてくれるではないかw
       殺戮もいいが、絶望に落ちた時の顔を見るのも悪くはないw


正男:き・貴様ァァァァ!!!進を殺しただけじゃなく、ラムスの遺伝子をも弄んで・・・絶対に許さないっ!!!



バルキスが落ち着いてしばらくした後、次に表情が強張ったのは正男の方に変わった。
一方でバルキスはここに侵入した仲間でもWRACの一味でもない、全く別の気配
そして尚且つ身に覚えのある気配を感じていた・・・。



バルキス:(む…この気配は…まさか…!!



第十章最終ボス戦へ


♪ミハールのテーマ
「爆ボンバーマン2」より
from Yoshiki World

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