中間ストーリー36
〜おたから〜
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レイド:なぜだ…、なぜキミは僕の邪魔をする?
     キミは僕の実力を知っている筈だろう?


レニウス:これは実力の問題じゃない。言っただろ?
      既にベイルと同等、もしくはそれ以上の力を持っていれば勝率は却って低いってね。


レイド:仮に勝てる確率が低くたって、そんなの関係ない…
     お宝は欲しい人にとって価値のあるものだからお宝と呼ぶんだよ。


レニウス:…その”お宝”は、必ずしも役に立つものでなくちゃ駄目なのか?力になるものじゃないと駄目なのか?
        そんなお宝選びだったら、命を賭ける価値なんてないよ。


レイド:下らない・・・。役に立たないもののために、命を掛ける方が愚かのように思えるけどね。


レニウス:・・・確かに役立つ道具や力はお宝の一種かもしれない…。
      でもさ、自分の命、自分の心の支えになるものだって、立派なお宝だと思うよ。


レイド:知らないね。役に立たないとそのお宝は何の意味も持たない。


レニウス:例えそれが仲間だとしてもか?


レイド:仲間?


レニウス:俺という仲間。そして中央司令部の仲間だよ。


レイド:・・・・・・。


世界混雑が起こる前、レイドはWPS中央司令部でいつもレニウス(当時のコードネームはレニウム)と共に行動をしていた。
任務遂行時だけでなく、彼らは兄弟のように仲が良く、いつも一緒だった。
レニウスはいつも一言多い人間だが、いざという時には頼りになる。


レニウス:教えてくれ、どうしてお前はWPSを裏切ったんだ?


レイド:…知らないね。


レニウス:とぼけるなよ!WPSで続けてく自信をなくしたというのは、嘘だろう?


レイド:ああそうさ。僕はWPSの裏切り者・・・


レニウス:どうして裏切ったんだよ・・・。


レイド:逆に聞くけどさ、さっき中央司令部の仲間だって言ったよね。


レニウス:それがどうかしたか?


レイド:そう、でも所詮は全く違う世界の人間同士だろ?
     しかも互いに素性を明かしてないというのに、仲良しこよしするのが嫌いなんだよね。


レニウス:そ・それは・・・


レニウスは言い返せなかった。
確かに、中央司令部の仲間とは言っても全く別の次元に住む人間がほとんどと言っても過言ではない。
いつ、誰が裏切り、誰がいなくなるか・・・考えてみればいつそれが起こるか分からないのだ。


レイド:それに、一人で仲間を失うことを恐れずに戦っている方が、ずっと力を発揮できる。


レニウス:そうじゃない!力が全てとは限らないだろ?


レイド:じゃあ、ディレイルはどうなんだよ。


レニウス:ディレイル・・・?


レイド:あの男だって、魔力を持つ人間のことを羨ましく思っていたじゃないか!!
     結局は”力”が全てなんだよ。僕はその為のお宝を探し続けてる。それで何が悪い?


レニウス:だからそうじゃないんだよ…


レイド:それに、ライだって。力を得る為なら手段を択ばない。
    動物だって平気で魔導実験用具にする…僕はどうもあの男が気に食わない。 …昔のことだけどね。


レニウス:確かにディレイルは魔力を持つ奴らを羨ましく思ってる。それはきっと今も変わっていない…。


レイド:だったら…!


レニウス:でも、きっとそれはあくまでも夢なんだ…。実現しなくたって構わない。ディレイルはそう考えてる筈だ。
      間違っているのは…、自分の理想を無理矢理実現しようとするその行為だ!


レイド:だったら僕は間違った人間で構わない。
     キミも僕も、数々の世界を旅してきたけど、結局何が正しいなんて、何処の世界も一緒とは限らないのさ…。


レニウス:どうしてだよ…お前はそんな奴じゃなかったはずだ!


レイド:・・・・・・


レニウス:お前はWPS中央司令部の中でもトップクラスを誇る実力を持っていた。
       でも今のお前は小さい。弱い。ちっぽけな人間だよ…。


レイド:何だと…?


レニウス:幾つもの世界を旅して来たんなら何度かこの言葉を聞いている筈だ。
     『仲間との絆が強さになる』ってな。


レイド:・・・さっきから思ってたけどさ、今この瞬間ってまさにドラマチックな感じだよね、僕はこういうの嫌いだけどっ!!



と、まさにその時だった・・・。



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♪freedom
第2回 HAKさんの作品より
from デジファミ音楽堂

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