中間ストーリー40
〜混雑はつづく〜
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〜WPS中央司令部 指令室〜


ジオン補佐官が裏切り、彼はWPSから姿を消した。
中央の幹部6人は総監室から中央司令部の指令室へと戻って来たがその間に会話はなかった。


ディレイル「畜生!!・・・なんてこった・・・!!」


ミハリア「まさか、あのジオン補佐官が・・・」


ハル「ラルズ総監じゃないから安心したと思ったら、まさかジオンがリカルドだったとは・・・」


ヨシキ「・・・・・・」


レニウス「みんな・・・ごめん・・・」


ディレイル「・・・なぜ謝る?」



レニウス「俺はこのメンバーの中では多分、一番弱い。
       こんなクズみたいな俺はここにいるべきじゃないんだ。」


前にレイドが言っていた、異世界の者同士は所詮信用できない。
レニウスはその言葉を思い出した。このまま共に行動を続ければ
レイドの時のようにみんながバラバラになってしまう・・・レニウスはそれを恐れていた。


ディレイル「何・・・言ってるんだよ・・・お前」


ヨシキ「確かに、そうかも知れないな・・・」


ディレイル「おい!」


ヨシキ「でも・・・、だからこそ仲間に頼るべきなんじゃないのか?」


レニウス「・・・?」


ヨシキ「レイドに言われたことを気にしてるんだろ?
     だからさっきレニウスは誰よりも感情的になっていた・・・違うか?」


レニウス「どうして・・・分かるんだ・・・?」


するとヨシキはレニウスに対し、そっと優しい微笑みを見せ
その後で指令室をゆっくりと彷徨いながら語り始めた。


ヨシキ「確かに、俺たちは異世界の者同士で互いに素性を知らない。
     でも、世界混雑が始まってから共に戦い、共に苦しみ抜いて、そして共に協力して真実までたどり着いたのも事実。
     こんなの子供が言う戯言だと思われるかもしれない。けど、それこそが俺たちなりの絆なんじゃないのか?」


レニウス「・・・」


ハル「・・・」


ディレイル「お前、普段そんなこと考えて行動してたんだな・・・」


ヨシキ「それに、自分の弱さを認められるのはそれも"強さ"の1つだ。」


ヨシキは立ち止まり、視線をレニウスに向けた。


ヨシキ「レニウス、その強さがあるからこそお前は中央司令部ここに必要なんだ。」


いつも落ち着きながらもどこか抜けたヨシキだが、その時の瞳はやさしいものだった。
自分の身の程を弁え、向上心を持ってさえいればその分努力はする、だから強くなれる。ということなのだろう。


ディレイル「しかし、よぉ・・・」


ディレイルは戸惑うようにヨシキに問いだした。


ディレイル「お前は前に、逆に強さばかり求めてたら他の仲間と分かり合えなくなるって俺に言ったよな?」


ミハリア「それはきっと、周りを見ないで一人じゃ強くなれないっていうことでしょうね。」


その時、ディレイルはミハリアの方に目線をうつす。


ミハリア「昔、私に勉学を教えてくれた人がいるんだけどね・・・その人が言ってたのよ。
      人は一人では強くなれないって。・・・ね、ライもそう思うでしょう?」


そう言い終えたときのミハリアはいつもの落ち着いた雰囲気とは掛け離れた、子供のような無邪気な笑顔だった。
ミハリアはライにとって幼馴染なのでこちらにその顔を向けてきたのだろう。

その顔をみたライはいきなり自分にふってきたことに驚きを感じたのか一瞬、目を見開いたが・・・


ライ「・・・そう、ですね・・・。」


瞳を閉じてそっと微笑んだ。
めったに人に見せない、その微笑みはミハリアにとって安心できるものだった。
それはどうしてか、普段のライはいつか遠くに行ってしまいそうで、怖かったのだ。


一緒に育った存在が、自分から離れてしまいそうで・・・。





レニウス「みんな・・・ありがとう・・・」


いままでうずくまっていたレニウスだったが
何とか立ち上がって再び歩き出そうとレニウスは仲間の顔一人ひとりを順に見やっていく。



ヨシキの微笑み・・・。


ミハリアの笑顔・・・。


ディレイルの微笑み・・・。


ハルの微笑み・・・。


ライの微笑み・・・。





WPS中央司令部の6人が新たな決断をし、新たな一歩を踏み出す瞬間であった。






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♪Endless Space-Time
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