中間ストーリー40
〜混雑はつづく〜
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その頃、WPS中央司令部 総監府 総監室では・・・


ラルズ「どうしたんだ?わざわざ中央まで来るとは、ヘルメス・・・。」


ヘルメス「は!まずは謝罪をと申しまして・・・」


東方司令部を離れ、総監室を訪れたヘルメスは席に座るラルズと向かい合って立っていた。
素早く頭を軽く下げるヘルメス。


ヘルメス「自分は正直、ラルズ総監がリカルドの正体ではないかと疑っておりました。誠に申し訳ありません!」


ラルズ「顔を上げてくれ、俺が疑われても仕方のない行動を取っていたのも事実だ。」


ヘルメス「は・・・」


ヘルメスはゆっくりと顔を上げた。


ラルズ「事情はもう知っているな?ジオンの正体と目的、そしてルドア達との繋がり・・・」


ヘルメス「存じております。それで総監にジオンの出身世界がどこか教えて貰いたいのですが」


ラルズ「ジオンの出身世界?」


ヘルメス「ええ、もしかすればルドア達もそこにいるのではないかと・・・」


ラルズ「ほう、それはどうしてかな?」


ヘルメス「正男たちの旅を利用することでルドア達が次元の壁を自由に超えられるようにするとジオン補佐官は言っていたそうですね。
       しかし、あのタイミングでそれを中央の奴らに打ち明けるということはきっと何か"切り札"を用意しているのではないかと思うのです。」


ラルズ「切り札?」


ヘルメス「まだ確信はありませんし、どういった切り札なのかはまだ検討は付きませんが、何かがあるのは間違いないと思うのです。」


ラルズ「わかった。ジオン・・・いや、リカルドの出身世界は俺の方で調べておこう。
      それが分かり次第、中央、東方、南方、北方にも連絡する。」


ヘルメス「北方にもですか?あのニュクスのことは信用できるかどうかは分からないでしょう。前に一度レギュラーを殺そうともしてますし。」


ラルズ「ルドア側の人間でもないのも事実。彼女の力も場合によっては必要になるだろう。」


ヘルメス「ですが・・・!!」


ラルズ「確かに最初は敵だったかもしれない。今も敵か味方かははっきりしていないが
      彼女のように時には敵かもしれないが時には味方もしてくれる存在をどう呼ぶか、知っているか?」


ヘルメス「いえ・・・」





ラルズ「時には敵だが時には味方。そのような存在が多くの世界ではこう呼ばれるんだ・・・























                                                      ・・・ダークヒーローとな。





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〜中央司令部 指令室〜


ニュクス「世界混雑の影響が更に酷くなっているので来てみれば・・・」


ミハリア「えっ・・・?それってどういうことですか?」


ハル「世界混雑は正男達の冒険によって収まったはずでは・・・いや、まさか・・・!!」


中央のメンバーは先ほどのリカルドの言葉を思い出した。




〜〜


『正男達4人、つまりレギュラーが次々と正男サイトの世界を旅することによって
 その旅した世界の範囲ならばルドア達も自由に世界の壁を越えられるという仕組みとなった。WPSのメンバーじゃなくてもな。』


〜〜



ハル「レギュラーの行動は完全に無意味だったということなのか・・・!?」


ライ「まずいことになりました・・・早くリカルドの居場所を見つけなければ・・・。」


ミハリア「でもさっきの話の通りに考えると、レギュラーが次の世界に辿り着けばルドア達もそこに現れるんじゃないかしら。」


ヨシキ「ああ、レギュラーは間もなく到着するはず。すぐに出動する準備をしておくか。」


レニウス「あ、もう復活してる。」


ディレイル「そういえばジオン補佐官ってどんな属性を持ってるんだ?」


ヨシキ「"止属性"だ。」


レニウス「止属性・・・?何だそれ?」


ヨシキ「普通の属性と同じように手をかざすと飛び道具を出すんだが、それに触れたものは全て活動を停止する。
      飛び道具の見た目としては、わりと光属性に近いんだがな。」


ディレイル「それって聞いただけだと普通という感じしかしないんだが・・・」


ヨシキ「確かに実感は湧かないと思う。だが、機械兵にやると全く動かなくなるし
      人間にやると一瞬で血の流れも心臓の動きも全て停止し、恐らく即死だ。」


レニウス「恐っ!!」


ヨシキ「更に言うなら、炎属性と氷属性の攻撃は一瞬で無にできる。」


ハル「ニュクスの分子支配能力と同じような相殺方法ってわけか・・・」


レニウス「けど、能力的にニュクスとの相性はかなり悪いんだろうなー」


ディレイル「高温系と低温系は全て一瞬で無効化しちまうからな」


レニウス「さすがのニュクスもあれ相手じゃ手も足も出ないかな?w」


ニュクス「ふん、私があの腰抜けに手も足が出ないだと?冗談も顔だけにしとけ。」


ニュクスは身をひるがえし、廊下の向こうへ一歩踏み出す。


ニュクス「一度北方司令部に戻って調べなおす。
       ルドア達が切り札を持っている可能性は十分高いからな。」


そう言い残して指令室を退室し、その場を去った。


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ヘルメス「ダークヒーロー・・・?」


パターンは色々あるが、最初は主人公の敵だったり
それ以降も主人公のライバルキャラとして時には味方をしてくれたりして、とても頼もしい存在になることもある。

『正男の集い場』ではブライアン。
『正男コントロールセンター』ではスティレット。
『悪魔の修羅場』では啓鬼郎がそれに当たるのだろう。


ヘルメス「そうですね・・・ニュクスももしかしたら味方になってくれるかもしれない。」


剣鱗「レイドもダークヒーローに含まれますよー」
ヘルメス「お前はしゃしゃり出てくんなよ」
剣鱗「というかニュクスって女だから正式にはダークヒロインだよな」
ラルズ「むっ、そうだな。前言撤回しよう。ニュクスはダークヒロインだ。」
ヘルメス「いや、総監もこいつに飲まれなくていいですから・・・。」



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かつて、我々の住む現実世界に生息していたウィンストン・チャーチルという人物は言った。
『今は終わりではない。これは終わりの始まりですらない。しかしあるいは、始まりの終わりかもしれない』と。
まさしく今のこの状況はそれに過ぎなかったのだ。

しかしこの時はまだ、WPSのメンバーは誰も知らなかった。
次の舞台となる世界はWPSメンバーの出身世界が混ざっているということを・・・。


♪『Miles Edgeworth: Ace Attorney Investigations 2』より
from Hamienet

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