中間ストーリー41
〜皇女の帰還〜
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正男「はぁ、やっと外に出られたぜ・・・」


ハシゴを上り続け、マンホールを開けて上半身を外に出した正男はそのままの姿勢で思わず街を眺めていた。
そこはファンタジー世界に出てくるような街の光景だった。
辺り一列に煉瓦の建物や木造の家などが並んでおり、中には喫茶店らしき建物もあった。

右を見ても左を見ても人が歩いている。馬車も時々見かける。


浩二「ちょっと兄さん早く出てよ」


正男「あ、すまん」


正男の下で待ちくたびれたような声が聞こえた。
正男が地上の地面に立つと浩二も続いてマンホールから身体を持ち上げ、ふたをしめた。


正男はあまり気にしていないようだったが、街を歩く人々の多くが正男達を不思議そうに見ていた。
マンホールから人が出てくる光景なんて珍しいので当然のことなのだが。



浩二「ちょ、ちょっと兄さん・・・人が見てるよ。早くここを去ろう。」


正男「つーか腹減ったな」


浩二「ちょ・・・確かにお腹はすいたけどさ。」


正男「じゃあとりあえずメシにしようぜ。結構コイン持ってるからその辺の食堂でいいだろ」


浩二「そうだね」


いろいろと問題点はあるがとりあえず休憩できる状況ではあったので
近くの食堂にて食事をとることにした。


〜食堂〜


食堂の二人用の席で食事をとる正男達。
それなりに広い食堂でお客も繁盛している。

カウンターの上下座標の天井に据えられたテレビもあるが他のお客さんの騒ぎにより
その音はかき消されていた。


正男「それにしても、何でまたクリスとザトシは逸れてしまったんだ?」


浩二「1つ前の世界では僕が1人だけ違う場所に飛ばされた。
    でも、多分あの2人が違う所に飛ばされたのは偶然じゃないと思う。いや、偶然とは思えない。」


正男「偶然じゃないって・・・まさか、何者かが意図的に?」


浩二「いや、前の世界で僕が飛ばされた先には派遣された仲間がいたんだけど、僕も一緒にそこに派遣されてることになっていたんだ。
    これはあくまでも仮説だけど・・・もしかしたら毎回僕らは世界を移動するたびに
    『もしも今世界混雑が起こっていなかったら僕たち4人は何処にいたのか』を判定した場所に飛ばされているんじゃないかな」


正男「ってことは、今回ザトシとクリスが別の場所に飛ばされたのも意味とか、重要な役割があるってことか」


浩二「そう考えていいと思うよ」


正男(あの2人にとってのこの世界での役割か・・・一体どういった役割を引き受ける必要があるんだ?考えろ・・・!!)


浩二「とはいっても僕たちまだこの世界のことよく知らないから見当もつかないけどね」


正男「そこなんだよな・・・まずはここがどういう世界なのかを知らないと見つかるわけが・・・」


と、その時だった。




女性客の声「あ、見てみて!テレビに映ってるの、あれ和国のジャニーズグループ"THE STORM"じゃない?」


女性客の声2「あ、本当だ!」


正男と浩二が何気なくテレビを見てみるとそれは衝撃的なものだった。









ザトシを中心に他の男4人と共に飛行機を降りてくるという映像が映し出されていたのだ。
そのテレビニュースの内容は和国の有名ジャニーズグループがこの国に来国していたというものだった。
そう、ニュースキャスターの声が告げていた。



正男「ええと・・・大野ザトシ?


THE STORMとかいうジャニーズのメンバーの顔写真と名前のテロップが表示されていた。



浩二「それがこの世界でのザトシの名前・・・てかこの世界でザトシってジャニーズだったの?」



名前的にも突っ込みどころはいろいろあるが正男たちが思っていたのは・・・















『ザトシってそんなイケメンだっけ?』ということだった。





ちなみに他のメンバーは知らない顔だったが『桜衣装』『アイバー』『ニート宮』『J』とそれぞれメンバーの名前が表記されていた。




正男「あれ?こいつら和国人だよな?名前おかしくないか?」


浩二「多分ただのネタだよ・・・」


正男「STORMの意味って・・・嵐だよな?」


浩二「嵐だよ」


正男「・・・まあそんなことはどうてもいい。それより食事も終わったし、店を出るぞ!」


浩二「あ、ちょっと兄さん!!」


正男がレジへと急ぐ。浩二もそれに続いて会計をする。


浩二「兄さん、手持ちはいくらなの?」


正男「700コインくらいあるぞ」


浩二「まあ、サイトによってそれが高いのか安いのかは分からないけど、食事1回分なら多分大丈夫だよね」


しかし・・・





店員「お会計、30フォッグになります。」


正男&浩二「……えっ?


店員「ですから、30フォッグ…」


正男(おい浩二!フォッグって何だ?)


浩二(知らないよ!この国のお金じゃないの?)


正男(しまった・・・ほとんどのサイトじゃコインがお金だからコインじゃないお金なんて想定もしてなかったぞ・・・)


浩二(じゃあどうするのさ?)


正男(格なるうえは・・・!!)


〜〜


1時間食器洗いを手伝わされた。
二人ともどこかの世界では家事作業の経験があったからか、仕事は意外と捗ったようだ。



何とか働いて返して再び街中を歩く正男と浩二。



浩二「はぁ・・・兄さんの早とちりでとんだ時間の無駄使いだよ」


正男「うるさい!この世界のこと何も知らないんだから仕方ねーだろ!!」


街の壁にはWANTED、指名手配犯の張り紙がいくつかあった。
浩二はふとそれを見ながらつぶやいた。


浩二「まあ、食い逃げとかしなかっただけまだよかtt・・・」


衝撃の連続だった。


浩二「兄さん、みてよこれ・・・」


浩二が震えた声を上げてきたので正男は呆れ気味に対応


正男「何だよ浩二、その張り紙がどうしたってんd...って・・・」




そこには驚きの光景があった。驚いたのは当然だろう。
ライの顔写真が指名手配犯として貼られていたのだから。


報酬金は90,000,000フォッグとなっている。




???「おかしいよなー。指名手配とはいえ、人に価値を付けるなんて。
    色んな世界のお宝を盗む僕ほどの賞金首なんていない筈なのに。」


正男&浩二「レイド!」


レイド(???)「皮肉なものだよ、違法である人体実験を繰り返して指名手配犯にされた挙句
         自分の世界に居場所をなくしてWPSに入ることになるなんてさ・・・。」


浩二「え?ライがそんなことを・・・?」


正男「お前まさか・・・WPSの仲間を売るつもりじゃないだろうな?」


レイド「たしかにあいつはおかしい奴だけど、僕はお金には興味ないんだよ。欲しいのは価値のあるお宝だけ…。」


正男「・・・いや、今はそれよりも気になることがある。お前、この世界のことを知っているのか?」


レイド「知ってるも何も、ここは元同僚の出身世界だからね。
     でも、そんなのはどうでもいい。お宝さえあれば、それこそが僕がここにいる意味だ。」


正男「じゃあもう1つ聞く、この世界は一体どういう所だ?」


レイド「"ガイアの世界"・・・WPSではそう呼んでいる。」


正男「ガイアの・・・」


浩二「世界・・・?」


レイド「神話に登場する神々の多くは、ある女神の血筋に連なっているという。
     そして人類もまたその血を引いている・・・それ故に人類は、その女神をこう呼んだんだ・・・母なる女神、ガイアとね。」
     ここはそのガイアによって創られたと信じられている世界なんだ。そしてもう1つ・・・」


浩二「?」


レイド「ここは管理人のいない世界だ。つまり、キミ達が元々存在していたかどうかはハッキリしないだろうね。




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♪コンテンツ"Newly Submitted Files"から
Nintendo DS『Ace Attorney Investigations: Miles Edgeworth』より
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