中間ストーリー43
〜豚に真珠、猫に小判〜


セリウム「や・・・やるわね・・・さすがは大地石を奪っただけのことはあるわ・・・」


正男「いや、だから誤解だってば」


セリウム「往生際が悪いのね。だったら本当のことを言うまで尋問してやるわ!」


セリウムがもう一度戦おうと、体勢を立て直したときだった・・・



???「やめて、セリウム・・・。この人・・・レギュラー・・・。」


正男たちの後ろから、一人の男が歩いてきた。


正男&浩二「コバルト!」



セリウム「え・・・?」



正男「だからそうなんだよ。ミハリアから手紙貰って、こいつもここを通してくれたんだ」


セリウム「・・・・・・」



セリウムは唖然していた。
自分はとんでもないことをしてしまったと、感じているのだろうか。


セリウム「あ・あなた方がそんな紛らわしい格好するからいけないのよっ!!!」


正男&浩二「反省の欠片もなしですか


浩二「まあ、確かにドット姿だからこの空間に生息する生き物と間違えやすいかもしれないけど」


コバルト「セリウム・・・謝って・・・。」


セリウム「うっ・・・」


自分が間違って正男たちを襲撃しまので明らかに悪いのは自分の方だと分かっているはずだ。
しかし、プライドが高い人なのか、彼女はコバルトから頼まれてもなかなか頭を下げようとはしない。



























〜WPS南方司令部〜










剣鱗「やれェーーーーーー!!!大和田ァーーーーーー!!!



オルフ「!? 急に叫びだしてどうしたんですか、剣鱗さん。」


剣鱗「ん?いやーすまんすまん!最近、半○直樹にハマってしまってな!」


オルフ「遅すぎません?しかも勤務中です。私語は慎まないと解剖しますよ。」


剣鱗「すまんすまん、わはは。」





イーグルアイ「↑の会話の意味は何だ?


ホトケ丸「気にしたらアカン。奴のペースに巻き込まれるで。」




〜その頃の正男たち〜



あれから、セリウムは正男たちに謝罪した。
断じて大和田常務風ではないが。

正男「↑だからドラマネタやめろって




正男と浩二、コバルトとセリウムは空間を後にし
先ほどの森へと出てきた。正男は大地石を持ち主であるセリウムに渡した。

謎の空間の出入り口では兜と鎧を着た見張りの兵士が二人いた。
2人ともマスクをしていた。・・・風邪か?


見張りA「お帰りなさいませ!コバルト様!セリウム様!」


見張りB「魔晶石は見つかりましたでしょうか!」


コバルト「大地石、疾風石・・・見つかった・・・次・・・探す・・・。」


セリウム「疾風石も?いつの間に見つけてたの?」


正男「ああ。ある人が俺に渡してくれた。異世界の人だから身分は明かせないが
    少なくとも疾風石は悪用するような奴の手に回ってなかったんだ。」


セリウム「ふーん」


コバルト「僕の代わりに見張り、感謝・・・もういいよ・・・」


見張りB「は!では、魔晶石捜査にあたります!」


正男「ちょっと待て」


見張りB「・・・何でしょう?」


浩二「・・・?」


正男「お前じゃない。もう一人だ。」


見張りA「私でしょうか?」


正男「お前、女性だよな?その顔つき、声。兜やマスクをしてるから一目じゃ分かりづらいけどな。」


見張りA「ギク・・・えっと・・・何のことかな・・・?」


正男「女性を兵士として働くなんて不自然だ。正体を見せろ。」


見張りA「ば・ばれちゃ仕方ないわね・・・」


見張りAの女性はマスクと兜を外し、その正体が分かった。








浩二「ミハリア!?」


セリウム「ミハリア様!?」


コバルト「バレた・・・」


セリウム「どうしてミハリア様がここに?」


ミハリア「やっぱり心配だったから来てみたのよ。でも、無事でよかったわ」


ミハリア「私がここに来たらコバルトが中の様子を見に行きたいって言ってて
      兵士のフリして代わりに見張りやってって頼まれたから見張ってたのよ」


見張りB「はい!私もコバルト様の提案に承諾しました!」


セリウム「ちょ・・・アンタ・・・」


コバルト「協力、感謝。」


セリウム「何が感謝よ!なにミハリア様にワガママ言ってんのよ!」


コバルト「謝罪。」


セリウム「あぁ!もう!!」


見張りB「では、私は魔晶石捜査に戻りますね」


と、見張りBは逃げるようにしながら去って行った・・・。




正男「それより、ミハリアから聞きそびれたんだが、WPSに入った理由って?」


ミハリア「そうね・・・折角だから話しておくわ。父上には本当の理由は言ってないけど
      セリウムとコバルトには話してるし、ここで全て話すわ」



〜〜〜数年前〜〜〜



ライが指名手配犯となったことを知って城を飛び出したミハリアは
街中でライと出会い、彼に地下深くにある研究室に案内された。
そこで衝撃の光景と真実を目の当たりにした後、ライはミハリアに”あること”を告げる。


ライ「ミハリア。さっき、指名手配されてはもうここにはいられないと言ってましたね。」


ミハリア「ええ」


ライ「だったら、私はWPSに入ろうと思います。」


ミハリア「WPSに?」


ライ「ええ、WPSはこの世界では知っている人も少なくありませんが
   秩序的にこの世界との繋がりはありませんし、一番安全だと考えました。」


ミハリア「だったら、私も行っていいかしら?」


ライ「どうしてです?」


ミハリア「見張りよ。貴方にはこれ以上悪いことして欲しくないもの。」


ライ「いいでしょう。」


それからミハリアは、父上であるキライン皇帝に無理を言ってWPSに入った。
勿論、反対はされた。指名手配犯であるライの見張りとは言えないし、適当な言い訳をするしかなかった。



〜〜



WPS入会試験に合格し、ラルズ総監と対面するミハリア。


ラルズ「入会おめでとう。ミハリア。」


ミハリア「ありがとうございます。」


ラルズ「して、WPSで任務を遂行するにあたってはWPSのメンバーはもちろんのこと
     任務先の世界で出会う人達から呼ばれる、極力本名とは別の名前が必要となってくるが、どうする?」


ミハリア「私は別に気にしないので、どちらでもいいです」


ラルズ「キミは確か、ライの見張りでここに入ったと言ってたな。」


WPS入会試験には面接試験、実務試験
そして主に自分の能力についてどれ程の知識を持っているかが問われる筆記試験が存在する。


ミハリアはそのうちの面接試験でその事を話していたのだ。


ミハリア「ええ、それが?」


ラルズ「見張り・・・見張りA・・・ミハリア・・・。あ、やっぱそのままの名前でいいぞ?」



〜〜〜そして現在〜〜〜



正男「名無しA=ナナシアみたいに見張りAが由来でミハリアってコードネームにした・・・」


浩二「それで、たまたま本名もミハリアだったからその名前をつかってると・・・」


ミハリア「まあ、総監は信頼できる人だけど、たまにどこか抜けてるのよね。」


正男「それにしても、よくコバルトとセリウムはライのこと理解してくれたよな」


セリウム「女心は複雑なのよ。私も同じ女性だから皇帝には黙っているだけ・・・」


コバルト「秘密・・・守る・・・。」


ミハリア「ニオブとかは・・・理解はしてくれても、口を滑らせそうだし、話してないけどね」


浩二「確かに・・・」




〜〜




正男「よし、じゃあ俺たちは俺たちで次の魔晶石を探す」


セリウム「それなら探してみて欲しい場所があるんだけど」


正男「どこだ?」


セリウム「このキライン帝国から離れて、大陸西部にマクセル・セニング共和国っていうところがあるんだけど
       そこで何やら黒いうわさを耳に挟んだのよ」


浩二「黒いウワサ?」


セリウム「マクセル・セニングは商業、工業に発達した国なんだけど、その技術を奪おうとしてる連中がいるらしいときいた事があるわ。
       まあ、あくまでもウワサなんだけど。」


正男「で、もしそれが本当なら魔晶石にも手を出す可能性が高いと?」


セリウム「飲み込みが早くて助かるわ。
      私たち国家公務員は可能性の低い場所の捜査はそう簡単にできないからぜひ貴方たちにお願いしたいの。」


正男「わかった。行ってみよう。」


セリウム「頼んだわよ。」


コバルト「協力・・・感謝・・・。」


ミハリア「お願いするわ。WPSの任務として魔晶石探しもあるし、私は私で探すわね。」


かくして謎の空間での戦いは終わり、正男たちは大陸西部にあるマクセル・セニング共和国に行くことになった。





































セリウム「ところで、ミハリア様にわざわざ兵士の格好をさせる必要ってあったの?
       見張りB(普通の兵士)も知ってるんなら変装させる意味なかったんじゃないの?」


コバルト「・・・・・・意味、なかった。」


セリウム「豚に真珠ね。てかあんた本気で気付いてなかったのね・・・。」


コバルト「猫に小判だよ」


セリウム「そんなのどっちでもいいじゃない。同じ意味なんだから」




♪吹き荒ぶ嵐
from あおいとりのうた

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