中間ストーリー24
〜悪魔の影〜


キドルが啓鬼郎と戦っている頃・・・


〜〜〜〜〜王都〜〜〜〜〜


正男「あぁー、やっと新しい世界についたぜ〜」


正男はワームホールを超えた安堵を浮かべ
思いっきり腕を伸ばした。


浩二「でも、ここは何処の世界?」


4人が辺りを見渡すと・・・いや、その前から分かっている。
ここは廃墟と化した王都だ。

しかし、そうなってから間もないのか
瓦礫はまだ所々燃えている部分があった。


クリス「なんか気味悪いわ・・・」


ザトシ「こんな場所が世界の入り口になっているとはな、気持ち悪い。
    一体何処の世界なんだよここは」


周囲に愚痴を零す二人。
一向に何処の世界なのか気付く様子はない。


しかし、正男だけは違った。
この世界での冒険でこの舞台に来たことがあるのは正男だけのようだ。


正男「"悪魔の修羅場"の世界・・・。」


クリス「え・・・?」


浩二「"悪魔の修羅場"の世界ってもしかして...」


浩二がそういい終えるか否か、激しい物音がした。
まるで誰かと誰かが戦っているかのような物音だ。

4人そろって音がする方に目を向けると、そこは市民広場だった場所へと続いていた。


ザトシ「・・・あっちのほうからするぞ」


正男「あそこには市民広場だった場所があるが、もしやそこから・・・?」


4人は急いで音が聞こえるほうへと向っていく。


〜〜〜〜〜〜王都、元市民広場〜〜〜〜〜〜


啓鬼郎「人間の癖になかなかやるじゃねえか
    お前一体何者だ?」


キドル「防衛軍アナザージェネストで隊長をやっている、キドルだ」


啓鬼郎「その若さで隊長だ?どうりで歯ごたえがあるわけだ・・・」


啓鬼郎は影兵によって廃墟と化した王都の中で
崩れ落ちて瓦礫となった建物の上からからまた別の瓦礫へとぴょんぴょんと飛び移る。
しかし、その途上で足を止めた。


瓦礫の上に立っている啓鬼郎は大きな斧を右手に持ちながらキドルを見下ろしていた。


キドル「貴様にひとつ問おう
    あの影兵は一体なんだ?あいつらを使って何をするつもりだ?」


キドルは啓鬼郎を見上げた。


啓鬼郎「影兵?あれは俺の仲間じゃない。」


キドル「じゃあなぜ影兵で囲んであの男を殺そうとした?」


啓鬼郎「アーガスのことか。そうだな・・・。
    アイツの隣にいた仲間の体を乗っ取ったってところか?」


キドル「貴様・・・」


啓鬼郎「おっと、そろそろ仲間の元に帰らなきゃいけないんでね
    ここは一旦引かせてもらう」


啓鬼郎は跳び去っていった・・・。


???「おーい」


数秒後、声が聞こえた。
声の主は正男で、キドルが振り返るとそこにいたのは正男達4人だった。

しかし、そこにいるアーガスもキドルもそのうち3人に対しては目もくれなかったのだ。
その理由は・・・。


アーガス「あれ、浩二さん達十八覇者の洗脳解けたんですか?」


キドル「クリス・・・お前、7soulに殺された筈じゃ・・・」


アーガス「って、キドルさんも知り合いなんですか?」


キドル「あんたもか。これは偶然だな
    それよりクリス、お前、生きてたのか・・・?」


キドルは目を疑いながらもクリスに問う。
しかし、クリスが返した言葉は後にキドルを動揺へと導くものとなる。


クリス「貴方・・・誰?
    それに何なのななそうるって?」


正男以外の3人は戸惑っていた。


この世界で浩二、ザトシ、クリスは敵軍"十八覇者"によって洗脳され
もうアーガス達の味方ではなかった筈だ。

いや、それは洗脳が解けたことにすればいい話。

問題はそこじゃない。


Super Masao Empire(以下SME)ではクリスは敵軍"7soul"の一人、リスインによって殺され死んだ。
なのにもかかわらず今、ここでSMEの世界の人間であるキドルにクリスは会ってしまったのだ。


キドル「俺だ、アナザージェネストのキドルだ!隊長の顔を忘れるなど、怪しからん」


キドルは怪訝そうな顔をしながら言う。


ザトシ「実はこいつ、記憶を失ってるんだ」


キドル「何?」


アーガス「それ、本当ですか?」


ザトシ「いや、アーガスの事は覚えている」


キドル「何だよそれ、どういうことだ?」


キドルは問い詰める。


正男「それは話せば長くなるが・・・、てか何でアーガスまでここにいるんだ?」


正男は取り繕うように言い終えると同時に
アーガスに視線を変え、理由を尋ねる。


アーガス「闇男さんが急に倒れだして、起き上がったと思ったらまた啓鬼郎に戻っていたんです。」


正男はそれを聞いて、表情を変えた。


正男「あいつが、また・・・?」


正男は驚きを隠せなかった。
あいつとは以前戦って、洗脳を解いた筈なのに・・・。
まだ完全に洗脳が解けてなかったのか。


浩二「もしかしてさっき騒がしかったのは、啓鬼郎と戦ってて?」


アーガス「はい」


アーガスは話を打ち切り、正男に尋ねる。


アーガス「そういえば・・・貴方どうしてここにいるんですか?」


正男「・・・あ?」


忘れていた・・・。
闇男とアーガスが王都へ探索に行っている間、正男達は第八基地にて待機するように言われていたのだ。
ちなみに二人が出かけた後、その基地にいたのは正男、フレーム、マッド、アーサー。
待機するよう命じられていたのにもかかわらず、正男とフレームは王都に向って出かけていったのだ。
その後は世界の融合によって正男の体も融合し・・・。


正男は慌てて話題を切り替える。


正男「そういえば、確かマッド達は今、"あいつ"と戦っている筈だ
   急がないとまずい!浩二、アーガス、一緒に来てくれるか!」


浩二&アーガス「OK」


正男「ザトシ達は、とりあえずキドルと一緒に行動しておいてくれ」


ザトシ「わかった」


正男、浩二、そしてアーガスはとある廃墟へと向かって走っていった・・・。


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一方、ザトシ達は・・・


キドル「さて、教えてもらおう。
    なぜ7soulに殺されたはずのクリスが生きてて
    俺のことだけを覚えていないのか。」


喋っている内容とは裏腹に、キドルは落ち着いた口調で言う。


ザトシ「・・・・・。」


クリス「ザトシ、あの人は誰なの?」


クリスはザトシの耳元に顔をよせて、ひそひそと話した。


ザトシ「俺とクリスが所属していた軍のひとつの部隊の隊長キドルだ。」


クリス「・・・どうするの?まさか全部話す気?」


ザトシ「そうだな、世界が混ざってるも変な死神一人に混ぜられたも
    こいつが知っているかどうか怪しいからな・・・。」


クリス「じゃあ、私が7soulの幹部に負けた時、情報が洩れないよう
    アナザージェネストと7soulに関する記憶を消されたって事で」


ザトシ「ああ」


クリスは言い訳を言い、ザトシは同意して頷いた。


そして、ザトシは話した。
クリスが7soulの幹部に負けたとき、殺されはせず本拠地に連れ去られ
情報を洩らさないためにアナザージェネストと7soulに関する記憶だけを消されたと。


キドル「なるほど。それで俺のことだけを覚えていなかったわけか」


どうやら納得したようだ。


クリス「ごめんなさい、私が7soulにしくじったばっかりに」


キドル「記憶を失っているとはいえ、お前が生きてたんならよかった」


ザトシ「で、これからどうするんだ?」


キドル「ああ、それなんだがな・・・。
    既に知っていると思うのだが、影の兵士が大量に現れてとんでもない事態になっているんだ。
    その真実を調べ上げたい。」


ザトシ「シャドウアーミーのことか?
    そいつらの事なら既に聞いている。」


キドル「その通りだ。あの軍からうじゃうじゃと現れる影兵・・・気持ち悪いだろ?
    俺たちはその軍名から取って影兵自体のことは"シャドウ"と呼んでいる。」


ザトシ「普通に影兵でいいだろ
    つーか他サイトの敵キャラに勝手な名前つけるなよww


キドル「そうだな、確かにそんなことをしたら申し訳がたたんな。」


クリス(あれ・・・?他サイトだなんて不自然な単語を使ってるのに皺一つ寄せてない・・・?)


クリスはキドルの反応に違和感を感じた。
一方、ザトシは全くそれには気付いていない様子。


キドル「そこでだ、俺たちはシャドウアーミーを打倒したいと思うのだが
    生憎兵器が不足している。」


ザトシ「おいおい、それじゃあ新しい武器も作れないし
    大量の兵士が襲い掛かったりでもしてきたら危ないじゃないか。」


キドル「まぁ話を最後まで聞け。
    俺たち3人で鉱山までその兵器を造るための鉱物を取りにいこうということだ。」


クリス「でも、もしその時に大量に敵が現れたりでもしたら?」


キドル「このまま黙っていてもいつかは敵に見つかって終わりだ」


ザトシ「じゃあ、とりあえず鉱物を取りに鉱山へ行くと?」


キドル「ああ、恐らくそこへ行けば新種の兵器を造るための機材が見つかるはずだ」


クリス「じゃあ、早速そこへ行ってみましょう。」


しかし、彼等が鉱山でシャドウアーミーの幹部が待ち構えていることなど
知る由もなかった・・・


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ここで一旦視点を正男達に戻すとしよう・・・。


廃墟へと向かっていった青年たちは、誰を慈しみ、何を試みるのか。


汝等よ、危機に迫られし者を示せ。




♪中山ソウル
Other's MIDI 啓太郎さんの作品より
from Zuiret

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