中間ストーリー25
〜燃え尽きる炎〜
 (2/2)



ジャック「ここは・・・どこだ・・・?」


彼は気が付くと、真っ白な世界の真ん中でぽつんと一人で立っていた。
状況が把握できず、戸惑いながらも歩くと聞き覚えのある声が聞こえた。


*「ジャック、こっちへおいで!」


声の主は女の子の声だ。
ジャックはこの声を聞いて驚きを隠せなかっただろう。

その声の主は、死んだはずのメアリーだったのだから・・・



メアリー「ジャック・・・久しぶりだね」


ジャック「メアリー・・・、嘘だろ?お前は・・・あの時に・・・


メアリー「うん、死んだよ。貴方のせいでね!


ジャック「え・・・?」


???「そうだ、お前のせいだ!ジャック!!
   貴様が裏切ったせいで兄さんも死んだんだよっ!!


どこからか、かつてバルスと呼ばれていた少年も現れた。


ジャック「違う・・・それは違う!!


メアリー「何が違うって言うの?」


バルス「とぼけんじゃねぇよ、この人殺し!」


ジャック「本当に俺は・・・
     うわああああああああああああああ!!!


〜〜


ジャック「……ハッ!!」


ジャックは目を覚ました。
夢……だったのか。

気が付くとそこはベッドの上だった。
どうやら正男達に無事救われ、防衛軍基地の病室まで運んでもらったようだ。


しかし、ジャックは冷静でいられる状態ではなかった。
今見た夢は事実ではなくとも、メアリーやバルスが死んだというのは事実だからだ。
もちろん、その兄であるバルーも既に他界してしまっている。


???「気が付いたか、ジャック」


声の主は正男だった。
その周りには浩二、フレイム、アーガス、マッドなどが集まっていた。


ジャック「正男さん・・・僕は・・・僕は・・・」


正男「安心しろ。お前は何もしていない。勿論俺たちがお前を責める理由はない」


マッド「死ぬ直前バルーに何を言われたのか知らないが、その内容が何であれ
    お前自身の判断でやってきたことはきっと正論だ。」


ジャック「そんな・・・嘘だ・・・!!
     バルーが言っていた・・・。僕のせいでバルスは死んだんだ!!」


正男「落ち着け!頼むから落ち着いてくれジャック!!」


しかし、その思いが届くことはなく
ジャックは精神的に病んだままだった。
何が彼を苦しませているのだろうか・・・。


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ザトシ「何とか片付いたな」


次々と影兵を指すことで、灰となって消える影兵。
現在アナザージェネストが"シャドウ"と呼ぶこの影兵達は
倒した後、屍として残ることがないため処理が非常に容易なのだ。


キドル「では、一旦基地に戻るとしようか」


トラス「待ってくれ、さっきの戦いで疲れた・・・
    少しここで休憩をしないか」


キドル「ここで休んでても危ないだろ。またいつ誰が襲撃してくるか分からんぞ」


クリス「でも、何かあそこに小屋があるわよ」


キドル「何?」


クリスが指を指す。
その先にあったのは、小屋だった。
外見は単純に板を組み合わせただけのオンボロな小屋だ。


ザトシ「・・・あんな所で休むのかよw」


トラス「仕方ないだろ。
    くたくたの状態で歩いてる途中で敵に襲われる事を考えれば安いものだ。」


キドル「そうだな。
    少し小屋で一休みするとするか・・・。」


〜小屋の中〜


ザトシ「うわ、外装と前々違うじゃねぇか、何だこれ・・・」


彼の言うとおり、内装は全面石で出来ており、トンカチや板など
兵器を造るための道具がたくさん落ちていた。

鉱物でものを作る工場だったのが廃墟された場所なのだろうか。
今のところ人の気配は感じない。

が、その時・・・


???「その声、ザトシだな?」


突如、聞き覚えのある声が聞こえた。


ザトシ「ヘルメス・・・どうしてお前がここに?」


そう、声の主はヘルメス。
ザトシが問うと、後方に連れた二人の東方WPSソルジャーと共にヘルメスがドア口からコツコツと歩いてくる。


トラス「知り合いか・・・」


クリス「もしかして、ここを作ったのはあんた?」


ヘルメス「私はザトシとクリスに話があってきた。」


ザトシ「話・・・?」


ヘルメス「二人とも来てくれ」


クリス「ええ・・・」


ザトシとクリスはヘルメスに呼び出され、他の部屋へと移動する。
するとザトシが首をキドルのほうに向けた。


ザトシ「おいキドル、俺たちが話している間に兵器造っていいからなー」


キドル「無責任だなあいつ・・・」


〜〜〜


そして、別室に集った。
そのメンバーはザトシ、クリス、ヘルメス、そしてWPS東方司令部シルジャー二人。


ザトシ「で、話ってのは何だ?」


ヘルメス「ああ。WPS北方司令部についてだ」


ザトシ「北方司令部・・・?」


ヘルメス「お前等レギュラー4人は、奴等に狙われているかもしれない」


ザトシ「北方司令部にか・・・?それは一体どういうことだ?
    俺たちが殺される可能性があるのか?」


ヘルメス「そう考えても良いだろう。だが、あくまでも"可能性"の話だ。」


クリス「でも、どうしてそう思ったの?」


ヘルメス「聞いた話だと、北方司令部は"世界混雑"の原因がレギュラー4人にあるのではと主張しているらしい。」


ザトシ「だからって、俺たちがWPSに殺される筋合いは・・・」


ザトシは踏み言って懸念を示すがその先は言えなかった。


ヘルメス「とにかく、北方司令部が戦いを挑んできたら
     こちらも奴を仕留める。」


クリス「その北方司令部は何人で襲撃してくるの?」


ヘルメス「もしかすれば一人という可能性もあるな」


ザトシ「一人だと?」


ヘルメス「一人だからといって油断は禁物だ
     北方司令部の主将はルドアと同等の実力を持っているからな・・・」


ザトシ「同じWPSだってのに、どうして俺たちを狙うんだよ」


ヘルメス「司令部によっては意見がばらばらなのだ。
     したがって、司令部同士で対立することもありうる」


ザトシ「・・・その事を、正男達は知っているのか?」


ヘルメス「いや、その事実を伝えたのはお前たちが初めてだ。
     あとの二人はまだ何も知らない。今から情報を伝えに行く予定だ」


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鉱山から地球防衛軍基地までの通り道にて
正男達の元へ向かうためにヘルメスを先頭にWPS東方ソルジャーが後ろに付いて歩いた。


東方ソルジャー1「しかし、北方司令部も随分と物好きな奴等ですよねぇ」


ヘルメス「そうだな。一体どうすればあのような考えになるのだか、さっぱりだ」


東方ソルジャー2「それより、ヘルメスさんの予測が当たって何よりですよ」


ヘルメス「ああ、以前東方司令部に所属していた奴が偶然北方司令部に異動することになったものだから
     "奴"のやり方を調べてこちらに連絡するように言ってみたが、ビンゴだった」


東方ソルジャー1「しかし、どうして北方司令部が怪しいと?」


ヘルメス「北方司令部のやり方は昔からいい加減だからな。
     どんな手を使ってでも一番効率の良いやり方を選ぶ所までは予想がついてた」


東方ソルジャー2「それで、あの方が・・・」


ヘルメス「だが、奴等が少し羨ましくもあるよ。
     "正しいと思ったやり方が偶々楽なスタイルだった。"という自己欺瞞に対する信頼に、何やら喜びを感じる。」


東方ソルジャー1「ヘルメス隊長・・・それは一体どういう・・・。」


東方ソルジャー1はどう言葉を返せばいいのか迷いながらも言った。
するとヘルメスは、くすりと微笑みながら返した。


ヘルメス「・・・冗談だw
     だが、知らないほうが幸せっていうのはよくある話だ。」


しかし、東方ソルジャー二人はヘルメスが言っている意味がよく分からなかった。


東方ソルジャー二人が顔を合わせると、ソルジャー1がまたヘルメスに尋ねた。


東方ソルジャー1「どういう、意味ですか?」


するとヘルメスが分かりやすく説明した。


ヘルメス「つまり俺が言いたいのは、奴等北方司令部のやっていることが
     ただの自己欺瞞でしかないということだ


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十八覇者───

彼等が人々に与えるのは破壊と殺戮。
だが、それは彼等十八覇者の意志ではなく
支配者"ヘル・ハデス"や、"デストロイ・シヴァ"に従うがために世界破滅を繰り返している。

十八覇者はその名の通り18人の幹部で統制されており
その中には六邪神というグループと九滅将というグループが存在するが
その2つのグループさえも上回る実力を持つ指揮官は啓鬼郎とガウスだったのだ。

が、しかし・・・


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〜十八覇者 アジト〜


啓鬼郎「よう、洗脳を取り戻してきたぜ」


啓鬼郎は右手を上げ、凶暴な笑みを浮かべた。


???「待っていたぞ、啓鬼郎」


ここで啓鬼郎を迎えたのは∞(むげんだい)という男とφ(ファイ)という蒼いショートヘアの少女だった。


φ「久しぶりね、啓鬼郎」


啓鬼郎「ああ」


十八覇者のリーダーである啓鬼郎が以前、ここに居たときこの幹部たちは
彼に対し敬語を使っていた・・・しかし一時的にでも洗脳を解かれ
ここから姿を消していたことで幹部たちは彼に対する敬意をなくしたということなのだろうか。
もっとも、啓鬼郎はそんなこと全く気にして居なかったのだが。


∞「予想より早く洗脳したようだな」


啓鬼郎「ああ、俺の知らない影の軍隊があったんだが
    闇男がそいつらに苦戦しててな、動揺している隙にまた体の所有権を乗っ取った。
    それにその時隣にはアーガスがいたからな。
    再び洗脳すればそいつを殺せると思ったんだが、不覚にも護衛に邪魔をされてしまった。」


∞「護衛だと?
  奴は何者だ?」


啓鬼郎「奴は確か、アナザージェネストとかいう軍の隊長とやらと名乗ってたな」


φ「聞いたことないわね・・・」


啓鬼郎「そういえば、他の十八覇者の姿が見えんが・・・」


∞「ああ、実は今、十八覇者は3ヶ月間戦闘を休止するという形になっているんだ」


啓鬼郎「休止?だったらいないのは尚更おかしいだろ。
    何のために休止してるんだ?」


???「地球防衛軍とshadow armyを戦わせて、弱らせる為だ」


突如、一人の男がコツコツと音を立て、歩きながらやってきた。


啓鬼郎「ベルゼブブか。一体どういうことだ?」


ベルゼブブ「話すと長いからな。
      この紙を渡しておこう」


ベルゼブブはそう言い、啓鬼郎に紙を差し出した。
啓鬼郎はそれを受け取り、紙に書いてある文字へと目を下ろす。

すると紙にはこう書かれていた。


***十八覇者 今後の予定***


これより3ヶ月まで戦闘を休止し、地球防衛軍とshadw armyを戦わせ、弱らせる。

3ヵ月の間、六邪神はshadw armyの基地を捜索、発見次第∞に報告する。

その他は九滅将は地球防衛軍の偵察、
∞、ヘルサンダー、デスソニックは占領した「ビッグ・キャッスル」の改築、兵力の増産にあたる。

六邪神には1人500の機械兵、九滅将には1人900の機械兵を与える。

3ヵ月後は両勢力を容赦なく叩き潰す。


****************


∞「で、それを交代制で行っているわけだ。」


この作戦は十八覇者にとって一番得とも言える秘策なのだ。
啓鬼郎が納得しないわけがない。周りにいる誰もがそう思っていた。

しかし、啓鬼郎は納得した表情ではなかった。
何か不満があったのだろうか。

そう思った∞は話しかけようとしたが
啓鬼郎はいきなり深刻な顔をして
顔を∞のほうへと向け、言った。


啓鬼郎「・・・3つほど気になることがあったんだが、聞いてもいいか?」


∞「何だ?」


啓鬼郎「この紙に書いてあるヘルサンダーとデスソニックっていうのは誰だ?」


∞「それは後から話そう。
  次の質問は何だ?」


啓鬼郎「shadow armyってのは何だ?」


∞「それも後回しだ。最後の質問は?」


啓鬼郎は答えを2回も後回しにされたという不満を抱きつつ、最後の質問をする。


啓鬼郎「……







    ガウスとアーリマンはどうした


∞「やはりそう来たか・・・」


啓鬼郎「一体どうなってるんだ!?」


φ「・・・」


ベルゼブブ「・・・」


∞「仕方がない、全てを話そう」


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ある日事件が起こった。

トップクラスを誇るガウス、そしてアーリマンという男が十八覇者を裏切るがために
ヘル・ハデスに襲撃を加えた後、世界を乗っ取るために新しい軍隊を作ったのだ・・・

それがShadow Army...


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∞「・・・というわけだ」


啓鬼郎「馬鹿な・・・よりによってトップクラスのガウスが裏切りを・・・?」


啓鬼郎は驚きと焦りで一杯だった。


ベルゼブブ「残念だが、それは全て事実だ」


啓鬼郎「くっ!!」


突如、啓鬼郎は何を思ったのか
窓から飛び出した。

恐らくガウスの元へ向かったのだろう。


φ「待ちなさい!まさか一人でガウスを殺しに行く気!?」


が、時既に遅し。啓鬼郎の姿はもう外にもなかった。


∞「放っておけ。
  こっちにはもう既にあいつの代わりが勤まる奴がいる。
  あいつがどうなろうと、もう我々には関係のないことだ。」


ベルゼブブ「とりあえず、交代が来るまで我々はゆっくりしていよう」


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〜shadow army本部〜


ガウス「・・・王都大虐殺、終了w」


???「おっと、ようやくかw
   今頃地球防衛軍の奴等は嘆いてるだろうよw」


ガウス「だが喜ぶのはまだ早いぞ、影竜
    我々はまだ勝ったわけではない。明日の儀式が終わるまで油断は禁物なのだ。


影竜「そうだな・・・」


影竜・・・。
ガウスと同じく彼は以前、十八覇者の一人だったのだが
shadow armyを立ち上げるために裏切りを実行したのだ。

彼は当時こう名乗っていた・・・



アーリマンと。


そして彼等以外でその周りにいるのは
shadow army四天王の炎影、水影、そして土影。


影竜「ところで、最近十八覇者の襲撃が無いな
   奴等は何か狙っているのか・・・。」


ガウス「どうせ奴等の考えだ
    我々と地球防衛軍を戦わせて弱らせるつもりなのだろうw
    私を含め、この"影の軍隊"の戦力の残りも予測せずになw


影竜「奴等の考えは相変わらずだなw」


ガウス「そう、今の十八覇者にトップクラスの奴は∞しかいない。
    つまり、我々の計画に狂いは無いのだ」


土影「しかし、また新しい軍勢らしきものもあるようですが」


ガウス「何?それは本当か?」


土影「ええ、彼等は"7soul"と名乗っていました」


炎影「7soul...確かあいつも言ってた・・・」


ガウス「炎影も知っているのか?」


炎影「無所属だと思われる男と戦ったのですが
   その時に奴は俺を"7soul"と間違えたのです。」


ガウス「そうか、わかった。
    ところで今、四天王はどのような状態だ?」


水影「はい。
   見ての通り四天王の3人は特に深い傷を負ってはいません。
   そして風王様はただいま、7soulの偵察に向かっております。」


ガウス「貴様等も動向してくれ。
    くれぐれも、十八覇者に目を付けられないように。
    誰かにつけられていると思ったら即刻殺せ」


四天王3人「了解」


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ニュクス「レギュラー4人は別行動ときたか・・・」


イーグルアイ「一気に4人を相手にするというのは流石に厳しいからな
       我々にとってはむしろ都合の良い話だろう。」


ホトケ丸「だがバラバラになっている分時間がかかりそうやな
     ここは別行動にするか」


ニュクス「そうだな・・・
     あの地球防衛軍とかいう組織にいる二人は貴様等に任せよう
     私はアナザージェネストの二人を潰しに行く」


ホトケ丸「久々に俺たちの出番やな
     しばらく様子をみて、襲撃のチャンスをうかがうとするか」


イーグルアイ「それより、ニュクスは大丈夫なのか?
       レギュラー二人を一人で相手にして問題はないか?」


ニュクス「私の実力を侮るな。
     例え相手がレギュラーでもWPSでも、容赦なく叩き潰してやる」


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全ては憎しみをきっかけに、人と人が争いあう。
そこから戦争が勃発し、それによって怨嗟の声が大きくなる。
やがて憎しみがエスカレートし、それは殺戮へと変化する。

それこそが"悪魔の修羅場"なのだ。

そんな世界を舞台に今、WPSによる壮大な戦いが繰り広げられる。

そして、ガウス達の目論む"儀式"とは一体・・・?




♪gate to sanctuary
from 3104式

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