中間ストーリー26
〜見えない爆弾〜
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ホトケ丸「すばしっこい餓鬼め・・・」


正男「俺は今まで散々高度な魔術を扱う奴ばかりと戦ってきた。
   いくら貴様が特別なパワーを持っていようと
   そいつらと比べりゃ、力属性とか言ってる貴様なんて大したことねぇんだよw」


ホトケ丸「そうか、ならばこうだ・・・」


ホトケ丸は瞬時に爆発的なメガトンパンチを加え
砂が弾けて砂埃となり、周囲一帯を覆った。

正男の体に砂埃が飛びついてくる。
それが目に入らぬよう警戒しつつ正男は攻撃に身構える。

互いに敵の姿は見えなく、五分五分の状態だ。


しかし彼は少し太り気味なのか
足音が大きく、若干ながらこちらが有利というもの。


正男「そこか!ライトニング・ボルテックス!!


正男はこの世界での力"雷の紋章"とも呼ばれる剣を差し出す。
するとその剣から現れた凄まじい電気がホトケ丸に向かっていく。

だが、ホトケ丸の対応も素早かった。


やがて、砂埃は晴れた。


正男「貴様・・・デブのくせに素早いな・・・」


ホトケ丸「ほっとけ!!てめぇ・・・WPS北方軍を舐めやがって・・・
     俺の必殺技をもう1回食らわせたろか、惑星砕き!!


ホトケ丸が技名を唱えると同時に飛び上がっては落下し、異様な重さと共にメガトンパンチを食らわす。
地面が砕け、今度は砂埃ではなく、激しい揺れが周囲に広がった。


正男「うお、またこの技かよ、あっぶね」


たった一瞬だったとは言っても激しい揺れのあまり、正男は身動きが取れなかった。


ホトケ丸「今や!」


ホトケ丸は正男が身動きが取れなくなった隙に
特技のパワーで仕留めるつもりになったのだろう。
彼は正男に向かって一直線に走った。
敵の斜め上に飛び上がり、目にも留まらぬスピードで正男に向かってパンチを食らわそうとする。
その刹那、周囲の砂が再び舞い上がった。

だが、正男も黙ってやられるだけではなかった。


正男「確かにそれを食らっちゃあ俺もこれ以上戦えるかどうかわからねえな
   だが、逆に今のお前の状況じゃあ俺の技を避けるってのも困難だよなw」


ホトケ丸「なぬ・・・?」


ホトケ丸に動揺が浮かんだ。


正男「仕上げだ。メガ・サンダークラッシュ!!


刹那、大量に出現した稲妻がホトケ丸を仕留める。


ホトケ丸「べうっ!!」


ホトケ丸は切り込まれるように稲妻を食らってしまい、その場に倒れた。
しかし、彼はまた立ち上がろうとした。


正男「馬鹿な・・・あの攻撃を食らっておいてまだ立ち上がれるのか・・・」


と、その時!


???「いつまでやっているんだ、ホトケ丸」


ホトケ丸「ヘ・ヘルメス隊長!!どうしてあんたがここにおるんや?」


正男「あんたがザトシの言ってたヘルメス・・・?」


正男は顔をヘルメスに向け、言った。


そう、そこには後ろに二人のソルジャーを連れたヘルメスが立っていた。


ヘルメス「もう十分だろう。ホトケ丸。
     これ以上やる必要は無い」


正男「そういや、お前等知り合いなのか?」


正男が尋ねると、ヘルメスはホトケ丸を指しながら説明を始める。


ヘルメス「こいつは以前、東方司令部で私の補佐として勤務していたのだが
     ある日偶然北方司令部へ異動することになってな。
     北方司令部の特徴を掴むために、怪しいことがあればこちらに連絡するように頼んでいたんだ」


正男「ということは、二人とも仲間だったのか」


ホトケ丸「ああ、だが今は北方でヘルメスのスパイみたいなことをやってるだけや」


ホトケ丸は改まった顔をして言う。


ホトケ丸「それより、正男といったな。お前の弟は大丈夫だと思うんだが
     あとの2人の仲間が危ないかもしれん。」


正男「何?」


正男は内容が理解できなかった。
内容が分からないという事は勿論どのくらい危ないのか分からないので
彼が慌てるのは当然だ。下手すれば命の生死が関わるのかもしれない。
いや、それ以上の何かも・・・


ヘルメス「まずは残りのレギュラー2人を保護に行くぞ
     詳しい話は歩きながらするとしよう」


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一方、浩二は・・・


イーグルアイ「そんなものかw」


浩二(こいつの属性は本当に風なのか?
   だとすればさっきの頭痛は・・・)


イーグルアイ「ぼーっとしてると痛い目を見るぜ」


浩二「お前が素早い風の属性を扱っているというならこっちは・・・リーフダッシュ!!


そう唱えると浩二は普通の目では追いきれない程のスピードで走る。
敵から見れば浩二の後ろに透けた浩二が数人連なっているように見えた。
それはまるでスライドのように・・・。


これなら流石に疾いといわれる風の属性でもそう簡単に攻撃を直撃させられるものではない。


しかし今、明かされるのだ。
イーグルアイの能力はそんなものではないと・・・


イーグルアイ「速えー。」


イーグルアイは浩二のスピードを見て嘲笑するように口の端を持ち上げた。


イーグルアイ「だが残念ながら俺の能力はそんなものには動じないw」


そう言って彼は手を上げる。
するとまるで何かに取り付かれたかのように浩二のスピードが落ちると同時に
また"あの頭痛"が走った。


浩二(またこの頭痛・・・いったいこれは・・・?)


浩二は頭を抑えながら改めてイーグルアイの能力を考えてみる。


さっき現れたとき、防衛軍のみんなに頭痛を与えた。
それから何度か僕のことを突き飛ばしてはまた頭痛が起き、自分の動きも鈍くなる。
ということはこれは念力なのか?いや、でもその時の感覚は明らかに風によるものだった。
しかし突風の持続効果がほんの一瞬というのも妙だ。
では、さっきの頭痛はどこから・・・?


もう一度考え直してみるがやはり分からない・・・。


しかし、突き飛ばされる時の感覚、よく考えてみると何かに似ているような・・・。
そう、イーグルアイの手のひらで何かが弾けた感じだった。

浩二はその反動で吹き飛ばされていた時の感覚を思い出した。
何によって吹き飛ばされたのか、それは風の塊のようだった。
それはまるで空気鉄砲のよう・・・。


浩二「・・・あれ?」


浩二は今の単語に首をかしげた。


風の塊・・・



空気鉄砲・・・



空気を圧縮・・・



風圧・・・



圧力・・・



そうか、わかったぞ・・・。


もしかしてイーグルアイの能力は単純な風ではなく・・・





浩二「お兄さん。名前、なんていうんだっけ?」


浩二は表情を変え、挑発するようにして尋ねた。


イーグルアイ「・・・イーグルアイだ。」


浩二「お兄さんの属性ってなに?」


イーグルアイ「それは自分で考えろ。」


浩二「やっぱり隠すんだね。でももう大丈夫。
   お兄さんの能力、わかったから


イーグルアイ「ほう・・・、面白い。ならば答えを聞こうじゃないかw」


イーグルアイは殺気を伏せるように手を下ろした。


浩二「お兄さんはさっき、みんなに頭痛を与えたよね。
   それから僕のことを突き飛ばしたりとかしてたけど
   その時点では念力と風を満遍なく使ってたんじゃないかって思ってた。
   でも冷静に考えてようやくわかったよ。
   その答えはとても単純な1つの属性・・・」


イーグルアイ「・・・」


浩二「お兄さんの属性は圧力。つまり・・・









   空気に圧力を加えて相手を突き飛ばす能力だということだね



イーグルアイ「・・・w
       正解だ。」


浩二「さっきの頭痛も気圧を変動させて発生させたものだよね。」


そう、一般的に髄液が漏れることで圧力が下がり、慢性の頭痛になることは有名だが
逆にの髄液圧力が上がっても頭痛になる。

例えば重いものを持ち上げるとき、腹部に力を入れる。 それによって髄液圧が上がり、頭痛が生じることもよくある話だろう。


今浩二たちが受けた頭痛も上記のものと全く同じ。


イーグルアイはその原理を利用して周囲の人間に頭痛を巻き起こしたのだ。


イーグルアイ「・・・やるな。だが俺の能力が分かったところで
       貴様の勝利が決まったわけではない!」


浩二「それはどうかな?」


イーグルアイ「どういう意味だ?」


浩二「お兄さん。僕の属性は知ってたっけ?」


イーグルアイ「えっと・・・闇と・・・草と・・・風・・・なっ!」


イーグルアイは改まって敵の属性を確認すると、顔をゆがめた。


浩二「そう、いくら圧力が高くても
   余計な風が来てしまえば全て元に戻ってしまう。
   それこそが圧力の最大の弱点だよ


イーグルアイ「( lll゚Д゚)しまったあああああああああああああああああ!!


浩二「トルネード・スピン!!


唱えると浩二の槍から竜巻が吹き出しイーグルアイを仕留めた。


イーグルアイ「くそ・・・こんなところで・・・(倒」


浩二「ふぅ」


浩二は安堵の息を漏らした。


浩二「とりあえず倒したはいいけど、こいつどうしよう・・・
   放っておくわけにもいかないし・・・」


プルルルル...


瞬時にWPS中央司令部からの通信が入った。ヨシキからだろう


ピッ


ヨシキの声「こちら中央司令部。調子はどうだ?
      モニターから見ると北方の奴が動いた様子はないんだが、もうそいつを仕留めたのか?」


浩二「うん、なんとか・・・」


ヨシキの声「わかった。今、連行させる者をそちらに送っている。
      そいつが来るまで、待っていてくれないか」


浩二「わかった。」


ピッ(切


浩二「ふぅ、それまで待機かぁ」


ガチャ...


ディレイルの声「北方の奴を連行しに来たぞ」


浩二「( ;○Д○)え?もう来たの!?


ディレイル「( -_-)驚くなよ」


その後、ディレイルはイーグルアイを連れて中央司令部へと向かった。





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♪追求 〜 問いつめたくて
「逆転裁判2」より
from ヨシキワールド

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