中間ストーリー28
〜ウラギリ〜 (3/4)
〜地球防衛軍 第八基地〜
真夜中───
それぞれ個室に別れ、地球防衛軍のメンバーほぼ全員がすでに就寝していた。
しかし、正男は眠れなかったのか、ドアを開け廊下に出る。
真っ暗な廊下を歩く中、徐々に光が増していく。
この先はモニタールーム。
誰がいるのかが気になった正男は、そこへ向かっていく。
〜モニタールーム〜
いつも夜間は兵士が数名ずつ交代でモニター監視を行っている。
今日もいつものように数名の兵士が行っている。
ただひとつ違ったのは、啓鬼郎が壁に寄りかかりながら腕を組んでいたということだ。
正男「・・・啓鬼郎、眠らないのか?」
啓鬼郎「ああ、俺は創造神ヘル・ハデスによって生み出された暗黒生命体。
それが人間のこいつに挿入されたとはいっても、人間の感覚なんて痛みしか分かりやしないからな。」
正男「・・・感覚?」
啓鬼郎「喜びや怒り、悲しみに楽しさも、全て物理的に存在できる生物ならではのもの。
すなわち感情だ。物理的には解明することのできない俺にとってこれらは、意味の無いものだ。」
正男「つらく・・・ないのか?人間としての感覚がないというのは」
啓鬼郎「つらくないも何も、わからねえんだ。人間としての感覚がどういうものなのか・・・」
啓鬼郎は無表情で表情を変えずに言った。
一方、正男は彼の言っていることが良く分からなかったが、1つだけ共感できることがあった。
仲間を失う悲しみ。
人は同族の死を目の前にする度に死を深く考えるようになる。
そして深く考えるようになればなるほど他人の死を悲しむようになる。
正男はその出来事が何よりも辛かったのだ。
逆に考えればこの出来事なしで共感することはできなかっただろう。
しかし、今は少しだけ啓鬼郎が羨ましいと思った。
正男「・・・人としての感情があるってのも、なかなか楽じゃねえよ。」
啓鬼郎「そうか。
だが、最近になってようやく怒りというものが分かった。」
正男「それは何だ?」
啓鬼郎「ガウスに対する怒りだ。」
正男「!!」
正男は想像が付いた。
啓鬼郎がガウスに対する怒り、その理由はひとつしかない。
...裏切り。
正男「やっぱり既にその事は知っていたんだな。」
啓鬼郎「だから俺は必ずあのShadow Armyとやらを潰す。」
正男「・・・それは手を貸してくれるということか?」
すると啓鬼郎は首を斜め下に向けて言う。
啓鬼郎「こいつと交わした約束だ。
俺は約束だけは絶対に守る真情を持っている。」
正男「約束か・・・」
啓鬼郎「今日はもう遅い。それに明日は苦しい戦いになるだろう。長く睡眠を取っておくことだな・・・」
正男「ああ、そうしよう・・・」
こうして正男は個室へと戻り、遂に時は明日へ・・・。
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♪人と夢
from Extra Ocian