中間ストーリー2
〜召喚正男図鑑と時空の覇者〜
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ニュクス「私のスピードについてくるとは・・・あれから腕を上げたようだな」


ザトシ(クリス・・・あいつは分子の支配者だ。
     今の戦い方からして多分、氷の上での戦いにも慣れてる。)

クリス(そうね。滑るのを上手く利用して戦ってるし。)


ニュクス「私の力は温度の支配だけではないことを忘れてないか?」


ニュクスは両掌で宮殿の床を叩いた。
するとニュクスの周りの床から、宮殿の床と同じ素材の触手が5本ほど湧き出てきた。
これはニュクスの能力の1つで、固体物質を変形させてそれを武器とする能力だ。

もちろん触手型でなくとも1本の棒や、剣の形にして自由に武器を作り使用することができる。
しかし、当然のことではあるが素材となる物質からは同じ物質の武器しか作りだせない。

例えば今の状況だと宮殿の床は石で出来ているので
そこからは同じ石で出来た武器しか作り出せないのである。

無から有を作り出したり、その逆はできないのである。


ザトシ「やっぱり来やがったか!」


クリス「ここは逆に触手の上にのって空中から攻撃しよう!」


ザトシ「OK!」





マスター「・・・ニュクス、あまり宮殿を荒らさないで貰えるか?」


ニュクス「私の能力で後で治す。心配するな」



カキン!!


正男はマスターに剣を振り下ろすが、マスターはそれを杖で防ぐ。


正男「よそ見をするな!あんたの相手は俺たちだろ?」


マスター「おっと、これは無礼なことをした・・・
      いやすまぬ、この宮殿を荒らされては困るのでな」


正男は剣を引かせ、後方に下がった。


正男「敵に向かって謝るとは、あんた変わってるな」


マスター「1つ問うが、ぬしらは何のために戦う?」


浩二「え・・・?」


正男「何のために・・・そんなの、世界混雑を止めるために決まってるさ!」


マスター「そうではない。ぬし自身がやりたいことだ。」


そういえば、俺たちレギュラー4人には世界混雑を元に戻すという大きな役割がある。
それは世界のこともそうだし、自分たちの体を元に戻すということも含めている。
もちろん、この融合する際に素材となった多くの世界での俺、つまり"正男"という男にはそれぞれ目的とは違う、戦う理由があるはず。

しかし、この"俺自身"にはそんなものがあるのか・・・?

──なかった・・・。


マスター「どうやら、見つけていないようだな。」


正男「・・・だったらどうする?所詮、俺たちはこの世界混雑を止めるために一時的に作り出された融合体に過ぎん!」


マスター「ほう・・・自分自身の希望を持たずに戦うか・・・だがそれは命取りになるぞ」


正男「俺たちはただ、世界を元に戻す、体も元に戻す。それだけだ!」


正男は再びマスターに剣を振りかざす。


ガッ!!


正男「なに・・・?」


マスターは杖を持っていない方の手で剣の刃を掴んでいた。


正男「そんな馬鹿な・・・!!これは炎の剣だ。この剣の刃を素手で掴むなど、自殺行為だぞ!!」


そしてその隙に浩二はマスターの後ろから・・・


浩二「トルネード・ストーム!!」


竜巻攻撃を発動。しかし・・・


マスターは軽々と正男の炎の剣の、しかも刃の部分を掴んだまま正男ごと振り回し・・・


正男「うおああああああ!!!」


浩二「しまった!兄さん、あぶない!!」


正男は浩二の飛び道具に向かって飛ばされる。


正男「なんの!」


正男は床に向かって思いっきり火炎放射を発動。
ジェット代わりにして上方に逃げ、浩二の竜巻攻撃を回避するという作戦だ。


浩二「ほっ・・・」


マスター「なるほど、考えおったな。なかなかだ」


正男は柱に足を当てて、そこからジャンプ
再びマスターに突進!


その隙に浩二は超速で突進。


浩二「リーフダッシュ!!」


即座に後ろに回り込み
マスターに接近した浩二は・・・


浩二「シャドウ・ウィップ!!」


マスターの後ろから腰を目がけて闇状の鞭を発動するが・・・


マスター「ほう・・・これが其の方の力の1つ、闇属性の力・・・なかなかのものだな」


浩二「え・・・?」


マスターは後方から鞭を発動されたのにも関わらず
鞭が絡まれてたのは杖を持っていない方の片腕のみだった。
いち早く気づき、体全体が絡まれるのを回避したのだ。


マスター「数々の戦いを経験したぬしらだからこその自信。
      だが、だからこそ失敗した際のリスクの考えが甘くなる!だから負ける!


マスターは闇の鞭で逆に浩二を振り回し、空中から突進してくる正男に向かって当てた。
この時点でマスターと正男の距離は大分縮まっていたので
正男はさっきのように炎をジェット代わりにして避けることはできなかった。


正男、浩二「痛っ!!」


ぶつかった正男と浩二は床に倒れた。


マスター「解って貰えたかな?紅き英雄、緑の英雄よ。」


正男&浩二(つ・強い!実力の桁が違い過ぎる・・・!!


マスター(まだ各世界の力と融合体そのものの力の併用が出来てないようだな・・・
      どうすれば力を目覚めさすことができる・・・?)


正男も浩二も全く攻撃を与えられずにいた。
過去のサイトでも強敵はいたし、ルドアやニュクスもかなりの実力だった。
しかし、彼はそれよりも上回っている。どうすればいい・・・このままではまずい!

しかし、マスターが先ほどレギュラーをこのまま放っておくと厄介なことになると言っていたのは
『始末しないと厄介なことになる』という意味ではなく
『ある新しい力を目覚めさせないとこの先の戦いでは生き残れない』という意味だったのだ。

マスターが目覚めさせようとしている力とは一体・・・?






マスター「英雄よ。2人では予に攻撃を与えられぬだろう。
      魂と共に、世界の力を捨てる覚悟で来い!!


ザトシ、クリスと戦っていたニュクスも攻撃を止め、2人から距離を置く。





ザトシ&クリス「・・・?」







正男「2人では攻撃を与えられないだと・・・?ナメてやがんな・・・?
    いいだろう。正直2人だけじゃあんたに勝てる気はしないからな。4人でアンタを倒してやる!」


浩二「待って兄さん!今の言葉、何か意味があるようにも聞こえたけど」


正男「そうか・・・!!」


マスター(どうやら気付いたようだな・・・)


正男「融合している俺たちは全ての世界での力を受け継いでいる。身も心も、記憶もな。
    全てが融合した今、俺たちだけじゃ世界も体も元には戻せない。
    だが、それを一時的に切り離すことならできるかもな。





すると正男は全身に意識を集中させ、オーラを発動させる。
そのオーラは正男の隣を焦点に集まり、やがて人間の形となる。
そして、オーラには徐々に色がついてきた・・・出来上がったのは正男と全く同じ姿だった。



ザトシ「何・・・?正男がもう一人現れた・・・?」


ザトシもクリスも浩二も・・・そして分身を作った正男本人も驚愕していた。
そして次の瞬間・・・

























マスター「合格だ!





















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その一瞬、時間が止まった。





・・・・・・。



正男・浩二・ザトシ・クリス「は?


ニュクス「・・・。」


マスター「其の方らはこの世界混雑の最後の場とも言えるこの世界を救う試練を受けるための試験に合格したのだ」


浩二「いや、あの・・・言ってる意味が分からないんだけど・・・。」


ニュクス「つまり、マスターと私が貴様らの相手をしたのは今のお前たちならではの力を目覚めさせるために過ぎん。
      最初に言っただろう、私は別にお前たちを殺すつもりはないと。」


レギュラー一同「・・・・・・。」


マスター「そういうことだ。予もニュクスも其の方らの敵ではない。」


正男「まあ、敵か味方かはもういいが、まずは聞かせてくれ。この分身は一体なんだ?」


と、正男は出現させたもう一人の自分を親指で指した。


正男(分身)「融合したことでお前の中に入ったうちの一人さ。
        つまり、別サイトの"正男"そのものってことだ。」


正男(本人)「なっ・・・!」


浩二、ザトシ、クリス「分身が喋った!」


ニュクス「今ので大体分かっただろう。他の3人も同じように意識すれば使える。」


マスター「逆に言えば、この力は其の方ら4人にしか使えぬ。
      融合体である其の方らが幾つもの世界の壁を超えたことで可能になった力でもあるがな」


浩二「どれ、僕もやってみよう!」


クリス「私も・・・」


ザトシ「どれどれ・・・」


3人もまた正男と同じように意識を集中すると先ほどと同じようにオーラが発生し
そのオーラは分身を作り出した。


ザトシ「おぉ!」


クリス「本当にできた!」


浩二「これは・・・すごい・・・」


マスター「但し、魔力はかなり使うぞ。それに、一度に一人しか分身は作れない。
      複数の世界での自分を召喚は出来ぬ。というわけだ。」


浩二「成程・・・」


正男「そういえば、気になってたことがもう1つある。」


正男は、分身を作っていたオーラを自分自身の身体に戻し、3人もそれに続いた。







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正男「俺達がこの先の世界に行くためのテストとか言ってたが、それをわざわざここに呼び出してやる必要はあったのか?」


数秒の間があって、マスターはニュクスに顔を向ける。


マスター「ニュクスよ、悪いがここは席を外してくれないか。」


ニュクス「分かった。一度北方司令部に戻るとしよう。」


するとニュクスは異次元ゲートを出現させ、その場から消えた。


そしてマスターは視線をレギュラー4人に戻し、理解しがたい一言を発した。











マスター「予は、この宮殿から出られぬのだ」


正男「何?それはどういうことだ?」


マスター「予はこの宮殿の主且つ次元の番人。
      予がここを離れてしまってはこの宮殿は無防備になる。
      この宮殿はWPSの本部や支部の基地を作ったり、修復する役割も持つ。
      それが消えればWPSも安泰してはいられぬだろう。」


ザトシ「マジかよ・・・」


マスター「故、例え一瞬でも予がここを離れるわけにはいかぬのだ。
      死神打倒にも手を貸すことは出来ぬ。」


正男「ルドア・・・。!!」


正男ははっとしたようにマスターに尋ねた。


正男「そういや、ルドア達の目的の1つにWPSを潰すことがあるとすれば
    ここを襲ってくる可能性もあるんじゃないか?


マスター「それなら無用だ。この宮殿に来られる者はいるかも知れぬ。
      だがこの宮殿がそのような役割を持っていることはWPS上層部の奴らも知らぬ」


正男「ってことは・・・」


マスター「知っているのはラルズ、ただ一人・・・。奴は予が自ら推薦したWPS総監として相応しい器を持つ男ぞ。
      だからこそ予は、奴を個人的懐刀としても信用し、全てを話している。
      情報が洩れぬよう、万全な注意も払っているからな。WPSにスパイがいたとしても、ここが壊される心配はまずない。」


クリス「なるほど・・・」


マスター「とはいえ、見張りが居ないのは危険。故に予は常にここを見守らなければならぬのだ。」


ザトシ「理解した。」


マスター「それから、其の方を呼び出したのはもう1つ、重要なことを伝えるためだ。」


浩二「重要なこと?」


マスターは軽く相槌を打った後、今回の事件で鍵を握る存在である、その呼び名を口にした。


マスター「・・・時空の覇者についてだ。」


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〜WPS中央司令部〜


ハル「・・・時空の覇者?」


ここはWorld Protect System、通称"WPS"と呼ばれる大組織の本拠地。
この世に存在する無数の物語の世界に矛盾を来さないよう、それぞれの物語の世界観を保護する役割を持つ。
世界の数にも匹敵するか否かは分からないが、無数の支部(司令部)を持ち、物語と物語の間にパラドックス(矛盾)が起こらないよう
彼らは時空の安定と、次元の歪みを起こそうとする者などの拘束権や捜査権などを持っている。

この組織には様々な能力を持つ人間や、人間以外の種族が集い、物語を安定させる仕事をこなしていく。
また、幹部たちの出身世界もバラバラであり、魔導師や武闘家、あるいは侍、騎士、超能力者、人造人間・・・。
様々なジョブを持つ人間、人間じゃない幹部で構成されているのである。



その中で現在、世界混雑を中心に捜査しているのがこの中央司令部である。
ちなみに、先ほど登場していたニュクスは北方司令部の将軍にあたる。

指令室にて6人集まったメンバーたち。
ハルはヨシキから時空の覇者という名を聞いて、首をかしげていた。


レニウス「ああ、そういえばハルがWPSに入ったのは世界混雑が始まった後だったから、この話を聞くのは初めてだよな」


ヨシキ「そうだったな。では、おさらいも兼ねて1から説明するとしよう。」


するとヨシキは改まった態度で静かに、説明を始めた。


ヨシキ「時空の覇者というのは、世界を丸ごと動かしたり消したりする力を持つ、言わば神のような存在だ。
    WPSという組織を造ったのも、奴だと言われている。
    もっとも、その"時空の覇者"というのは何者かが大いなる力を得てなるものなのか、
    それとも元々"時空の覇者"と呼ばれる人物、あるいは神様が存在するのか、分からないんだがな。」


ミハリア「ここにいる私達も、誰も実物は見てないからね」


ヨシキ「もし時空の覇者の正体が前者だとすれば、世界と世界の間に大きな矛盾が生じ、
    時空が歪んでいる隙にその世界を吸収することで大きな力を得るという説もある。
    もしそれが事実なら、ルドアのやっていることがその第一段階だ。」


ディレイル「成程、そう考えるのが妥当だな。」


ヨシキ「もし後者なら、世界混雑が起こったことによってその神様が怒って、
     最悪の場合、全世界を丸ごと造り直される可能性もゼロじゃないな」


ハル「何だと?そうなると、わしらの住んでる世界は・・・」


ヨシキ「消滅するかも知れない・・・。」


ヨシキのその一言で、空気が重くなった。


ヨシキ「どちらにせよ、誕生してしまったら厄介なんてものじゃない。絶対に奴を誕生させてはならない。


ライ「厄介といえば、今のこの状況もそうです。ルドアが何やら仲間を集めているようで・・・」


ヨシキ「俺も気付いていたが、先ほどラルズ総監からそう連絡があった。
     ルドアが正男界の戦士を集めてWPSの総攻撃を企んでいる。これはWPSにとっても厄介だ。
     物語の安泰が使命であるWPSが正男界の戦士を巻き込んでしまうのはWPSとして恥だ・・・だが、止むを得まい。」


レニウス「こっちも、ルドアと同じように仲間を集めるのか?
      確かに、そうでもしないととても戦力では叶わないよな。」


ヨシキ「正男界の英雄たちの協力が必要だ。
     ルドア達を止める為の・・・な。


ライ「では・・・それを総監に報告しに行きますか?」


ヨシキ「世界混雑に関わる司令部と総監で緊急会議を行った方がいいみたいだな」


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ラルズ「・・・ああ、私も最悪この事態のことは想定していた。先ほど各司令部の奴らにも伝えた。
     もっとも、私の方から連絡するまでもなかったがな」


WPS総監室の奥の席に居座るWPS統括ラルズ総監。
その席に置いてある水晶玉にはマスターが映されていた。
ラルズはそれに対して話をしている。


マスター「ほう、流石は今のWPSもなかなか優秀だな。既にこの事態に気付いていたか」


ラルズ「お前が育てたWPSでもあるんだ。これしき気付かないわけがなかろう。」


マスター「はっはっは!それもそうだったな!」


マスターはかつての自らの役割を忘れたことに滑稽さを感じ、笑った。
しかし、次に話し出したときには表情は一変していた。


マスター「ところで、あのジオンという男はどうしたかね?」


ジオンとはかつて、WPSの全世界完全保護協会員統括補佐として
ラルズ総監の補佐を担当していた。

その時の彼は『ジオン補佐官』と呼ばれ
WPSでラルズに次ぎ、二番目に地位の高い人物であった。
確かな実力者でもあり、中央司令部も、東方司令部も、南方司令部も彼には敬意を払っていた。

しかし、彼の正体はルドア達の後ろについているリカルドたったのだ。
俺の前であいつはサボリ魔だったので今思えば想像がつかない現実ではあるが。


ラルズ「奴の出身世界についてはもう分かっている。この後緊急会議を開いてそれを皆に知らせるつもりだ。
     とにかく、状況は深刻だが慌てるのも不吉。WPSがこの状況にどう対処するかは各司令部と話し合おう。」


どうやらラルズもヨシキと考えていることが一緒だったようだ。


ラルズ「・・・お前程の実力者なら一人でも大丈夫だと思うが
     あの宮殿は何としても守り抜け。でないとWPSの基地の安泰は長くなくなる。」


マスター「ああ、心配には及ばない。そっちも頼んだぞ。」


シュン・・・(水晶から画面と通信が消える)


ラルズ「さて、皆には悪いが緊急会議を…」


と、その時だった。


ヨシキ「失礼します。」


ヨシキを初めとする中央のメンバー6人が総監室に入ってきた。


ラルズ「キミたち・・・どうしたんだ?」


ヨシキ「かつてない世界混雑のこの状況。下手に司令部単独の判断で行動は危険と思い
     世界混雑に関わる全司令部での緊急会議を提案しに来ました。」


ラルズ「何と・・・。私も今同じことを考えていた。
     すぐに東方司令部、北方司令部、南方司令部もここに呼び出そう。」


レニウス「これはかつてない大会議になりそうだな・・・俺、こういうの苦手・・・。」


ヨシキ「まあ、こんな状況だし、仕方あるまい・・・。」


ライ「では・・・、各司令部の代表がここに集まるまで、待つとしましょう。」






To be continued...


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