中間ストーリー4
〜背負うもの、守るもの〜
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大きな黄色い角の生えた赤い化け物"クリガス"と二人掛かりで戦うクリスと灰男。
灰男からすれば知性を持つ異形の化け物と戦うことは今までなかったので正直戸惑っていた。


しかしメイパスとジュラム、二人の仲間をやられたからには絶対に負けるわけにはいかない。
灰男もクリスも同じ気持ちだった。


同じ軍隊として戦ってきた、そんな二人の連携戦闘は上手いことクリガスを怯ませた。


クリガスはあまり飛び道具などを使わないが、大きい図体には似合わずスピードには優れているようだ。



クリガス「私はこの大時空軍の幹部に選ばれた者…
      時空の覇者を求める者が全てを貪り尽くし、それに逆らう物は全て滅ぼすのだ!」


灰男「でもその力を手に出来るのはたった一人…、神の力を手にしたところで周りに誰もいないんじゃ意味ないだろ!」


クリガス「果たしてそうかな?この力を得れば全てが思い通りに。
      つまり、奴隷を作ることだって出来る。自分を信じる者はまた復活させれば良い。」


クリス「そんなのみんなの本当の意思じゃないわ!結局は自分の意思でみんなを動かしてるだけよ!」


クリガス「所詮は貴様も只の奴隷にしかなり得ない人間…さっきの奴に続いて貴様らも貪ってくれる!」


灰男「クリス、一か八か、あの作戦で行こう」


クリス「そうね」


クリガスが灰男とクリスに突進。先ほどのメイパスとジュラムと同じように二人同時に角で刺すつもりか。
それに反する二人の作戦というのは…


高速突進により二人の目の前にクリガスが迫ったその瞬間
二人は一気に属性攻撃をクリガスの三つ眼球に放った。


クリガス「ぐほぉっ!!き・貴様らぁぁ!!!」


灰男「やっぱりな。メイパスやジュラムを一瞬で死なせる攻撃力があっても
    俺が今まで戦ってきた奴らと比べれば知性は全然大したことなかったみたいだな。」


所詮は血の塊のような化け物。大した敵ではなかった。
しかしそれ故に気配が感じられなかった。そんな敵に背後から隙を突かれてしまっていたのだ。

メイパスとジュラムは決して弱かったわけではない。
気配のない奴から背後から襲われては逃げようがないのは当然のことだ。

だが奴の攻撃方法を見切れさえすれば倒すのはそう難しくはない。
大時空軍の幹部に選ばれたのも所詮は第一印象が良いに過ぎなかったのだ。


クリガス「クッ…、だが忘れるな…私が消えても大時空軍はまだまだ貴様らを…ウォォォ!!」


クリガスは紅い液体を周囲に飛び散らせその体は分解され消滅した…。


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一方、ガルムと戦っているザトシ。
ガルムは相変わらず力を求めようとしないザトシに対し嫌味を言ってくるが
ザトシもああ見えて戦いの実力はなかなかのものなので上手く反逆は出来ている。


ガルム「お前は本当に反逆するのが好きなようだな、この反逆者が!!


ザトシ「お前が誰だか知らないが、そんなにも侮辱ばかりしてたら…バチが当たるぜ?」


ザトシは先程マスターから教わった分身、すなわち別サイトでのザトシを一人召喚してガルムを一斉攻撃。
ガルムはこのままでは勝てないと判断したのか…


ガルム「チッ、今日はこのくらいにしといてやる・・・」


そう言ってガルムは異次元ゲートで退散。


ザトシもそれに巻き込まれるように灰色の水彩模様の空間に飛ばされたと思ったらその模様も消え
気が付けば先ほどクリス達と一緒に居た空間に戻されていた。


クリス・灰男「ザトシ!!」


ザトシ「戻ってきたのか…」


あのガルムという男は自分の好きなタイミング撤退することが出来たのだろうか…。

だが考えてても仕方のないこと。
所詮は世界混雑が原因で不意に現れた乱入者に過ぎない。
もうザトシと会うことはないだろう。










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ザトシ「何だって・・・?」


ザトシはガルムを退け無事クリス達と合流ができた。クリスと灰男もクリガスを退けた。
しかし、クリスから聞かされた事実にザトシは驚愕してしまっていた。
先程、灰男も『俺の仲間はこの世界でやられた』と言っていたがそれがクリスにとって目の前で起こってしまった。

メイパスとジュラムが目の前で殺されてしまったのだ。


クリス「だからこそさっき灰男と決意したのよ…必ずこの世界混雑を終わらせようって。」


ザトシ「俺も、ある世界では親友を亡くした…クリスも正男も浩二もこれまで色んなサイトで、色んなものを抱えてきた。
     でも、この世界混雑で起こる悲劇は多分、それらとも比べものにならないだろうからな。俺もその意見には賛成だ。」


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一方、正男たちは…


正男「レイド。ずっと気になっていたことがある。
    お前、WPSを辞めたのに、どうしてあいつらと付かず離れずなんだ?」


確かにそうだ。レイドはWPS中央司令部の仲間を裏切り、訪れた世界にとって価値のあるお宝を狙う泥棒と化していた。
だがそれだけではない。

レイドは"仲間"という言葉を嫌っているかのような振る舞い方をしているがその一方で
やけにレギュラーやWPSの訪れた世界にしつこいように彼も現れ出ている。

正男たちがこれまで旅してきてレイドに対して感じていたのは
WPS中央司令部の仲間たちと付かず離れずだということだった。

その点から考えると、どうも引っかかる点が多い。
ただ単にWPSを嫌うようになったとは到底思えなかったのだ。


レイド「どうして、そのことを聞くのかな?」


正男「WPSを辞めたのにやけに世界混雑に関わるから妙だと思っていたんだ。
    そこまでして俺たちに色々なことを教えたりとか、お前には何か目的があるように思える。」


レイド「・・・」


正男「もしかして・・・それにはライが関係してるんじゃないか?


レイド「…まぁね。」


レイドはそのことについてはあっさりと認めた。


レイド「でも、僕はおしゃべりがあまり好きじゃなくてね。キミが教えてくれたら、教えなくもないけど。」


正男「ああ、俺には沢山背負うものがある。俺はモンスターを倒すという使命、殺戮組織から人類を守る使命。
    大切な人を救う使命とか、いろいろな・・・。」


浩二「僕も同じだよ。兄さんと一緒に育って、同じものを背負って、これまでいろんなサイトでいろんな戦いを繰り返してきた・・・。」


レイド「そう・・・、やはりレギュラーは何百人分もの記憶が蓄積されてるから、相当つらいだろうね。」


真利夫「俺は…」


正男、浩二に続いて真利夫が重々しく口を開いた。


真利夫「俺はかつて、大切な弟を亡くした・・・二人もな。」


浩二「!!」


正男「・・・」


浩二は真利夫のいる『正男の集い場』での記憶を思い出しはっとした。
正男にその記憶は残っていないが・・・。

真利夫が正男のほうを見やったことに他の3人は気付いていた。
"亡くした弟"のうちの一人が正男であることは部外者のレイドにも伝わったようだ。


真利夫「そしてもう一人・・・、俺と正男と浩二の弟でもあった。
      彼は愛する者を守るために戦っていたはずだったのだが、ある人物に洗脳され殺戮の悪魔と化した。
      それが原因で、自分に逆らう者は全て敵と見なすようになったのだ・・・例えそれが、その"愛する者"だとしてもな。」


浩二「・・・真利夫兄さん・・・。」


真利夫「そんな中、何とか奴の洗脳を解いたと思った矢先だ。
      洗脳した奴の邪悪な力によってあいつは愛する者を置き去りにして無残に死んでいった・・・。
      俺は今でも許せない…弟を殺したそいつを…そして、弟を救えなかった自分をな。」


レイド「随分と重いものを背負ってるんだね。そこは流石に同情しちゃうかな。」


正男「俺たちは話した。さて、約束だ。
     お前がかつて、ライと何があったのか、教えろ。」


レイド「いいだろう。」


レイドのその言葉の後には凄まじい緊張感がその空気に漂っていた。
なぜだろうか、これが世界混雑の根幹にも繋がっているような気がした。
やがてレイドが口を開き・・・


レイド「僕はライが・・・」


と、その時だった!!


???「やっと見つけたぞ、正男、浩二。」


正男「お前ら・・・」


『見つけたぞ』というディレイルの声。
その背後にはディレイルの他にもWPS中央司令部の面子が5人。全員いた。
更にはザトシとクリス、灰男も。WPSは何とかレギュラー全員見つけることが出来たようだ。


ザトシ「正男!浩二!」


クリス「なんとか合流出来てよかったわ・・・。」


灰男「あの時はどうなるかと思ったぞ・・・。」


浩二「なんか、安心しちゃったね、兄さん。」


正男「ああ、だが今肝心な話をしていた時だ。レイド、今の話を・・・」


しかし、その場にレイドは既にいなかった。
かつての仲間と顔を合わせるのに抵抗があったのだろう。増してや全員ともなると尚更だ。


正男「て、消えるの早っ!!」


真利夫「あいつ、もう消えたのか・・・」


レイドの行動力の早さに正男たち一同は驚いていた。


ライ「どうかしたのですか?」


正男「いや・・・」


ヨシキ「それにしてもお前たちを見つけるの大変だったぞ・・・
     次元の歪みが空気中に漂っててセンサーが反応しずらくなってたからな。」


合流したレギュラー4人、WPS6人、部外者2人の計12名でWPS本拠地 中央司令部の指令室へと向かった。


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