中間ストーリー9
〜最後に笑うのはポジティブな奴〜
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ライ「みなさん、緊急事態です。直ちに中央司令部へ帰還してください。」


通信機を通してWPS中央の仲間に一斉にメッセージを送るライ。
その声は共に行動をしていたレギュラー4人にも届いていた。
報告を受け、各メンバーから驚きの声が上がる。

無理もない。ライ程の実力者がいながら、この事態になったのだから。



〜WPS中央司令部〜


ディレイル「おいおい、冗談だろ?ヨシキが奴らにさらわれただって?」


正男「どうするんだ?あいつがいなければ、これ以上仲間を集めに行くのは難しくなるぞ……。」


ライ「すみません……私の不注意でした……。」


ハル「ライがワシらに謝るとは……。」


ミハリア「それだけ相手が強大だったってことよね……。」


浩二「大時空軍……どこまで恐ろしい奴らを仲間にしているんだ……。」


クリス「それに引き替え、こっちにバックアップがいなかったら仲間集めは困難よね……。」


ザトシ「ヨシキを救出しに行くしか……。」


レニウス「でも、ヨシキの能力に頼れない以上、探しようがないんじゃないか?」


ライ「ヨシキの能力は捜索においても画期的でした。
   その能力が使えない今……私たちは、レーダーを使って探すしかありません。
   尤も……効果は期待できませんが……。」





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ヨシキ「……っ……ここは……。」




辺り一面を見回す。巨大なモニター、さまざまな機材……。
まるで、司令室のような光景だった。



自分は先ほど、大時空軍の奴らによってさらわれた。
ということは、ここは大時空軍の本拠地なのだろうか……。





???「目を覚ましたようだな。」




ヨシキ「っ!!その声は……!」


ヨシキは身を乗り出そうとしたが、身動きが取れない。
どうやら、手足を枷で縛られているようだ。しかも壁にみっちり貼り付けられている。



ルドア「ククク……こうして、お前と一対一で話すのは初めてだな。」


ヨシキ「ルドア……っ!」



聞き覚えのある、忌むべき声、憎むべき存在。
そう、目の前にいるのは……間違いない。紛れもなく、ルドア本人だった。



ヨシキ「……俺をさらった奴らは、俺の能力を大時空軍のために利用させて貰うとか言っていた……
    まさか、俺の能力を"覚える"ためか……?」


ルドア「残念ながら、私にはお前のような表沙汰に出ない技を覚えることはできん。」


ヨシキ「じゃあなんだ、俺を洗脳するか……?」


ルドア「ハンッ、WPSに所属しているお前を洗脳なんかできないことくらい、分かっている。
     面倒な能力だな、洗脳防止スキルというのは。」


ヨシキ「お見通しか……その通り。あらゆる技術をもってしても俺を洗脳するのは不可能なはず……
     ではどうやって俺の能力を?」


ルドア「ククク……簡単な話だ。今に分かる……。」


ヨシキ「……?」


その瞬間、ルドアにノイズが走りだし、やがてその姿は消えた。
後ろにはウイルスコアの姿が……。





ヨシキ「今のルドアは、お前による立体映像か……。」


ウイルスコア「そのとおり。そして我は今からお前のコピーを作り出し、我々のアナライズ担当を作り出す。」


ウイルスコアはヨシキの肩に手を乗せ、瞑想して何かを唱えた。
もちろん拘束されているヨシキは抵抗することが出来ず、ただ黙ってみているしかなかった。

目の前に、0と1の数字が走り出す。
数字は大量に集い、ヨシキの周りを囲むと、やがて1つとなり、一人の人物像を形成した。



それは想像もつく、ヨシキと瓜二つの姿。




ウイルスコア「ハハハ……これで我々にも、お前と同じバックアップ担当者がついた。
       そして今、WPSにはお前は居ない。我が大時空軍が有利というわけだwww」



ヨシキ「なん……だと……。」



ウイルスコア「さて、こいつも用済みだ。おいお前ら!こいつを独房にでもぶち込んどけ!」


∞ペトモン兵士「っは。」



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∞ペトモン兵士「おら!入れ」


ヨシキ「っ……!!」


牢にぶち込まれるヨシキ。

冷たい床の感覚と、たたきつけられたかすかな痛みが、体に伝わってくる。
体を起こし、辺りを見回すが、使えそうなものは何もない。

目の前の檻は、とても頑丈そうだ。どう見ても自力では壊せないだろう。
手足の自由はあるものの、ここから出られないのであれば、何も出来ない。
通信機も取り上げられている。


とりあえず、壁にもたれたそのとき、部屋の奥から声が聞こえた。


???「フン……お前も、運のない奴だ。」

ヨシキ「誰だ……?」


声の主は立ち上がり、檻へ近づく。
紅い髪と、蒼いキャスケット。
そしてケープコートのようなものに身を包んだ人物……。











違男
星空パレット







ヨシキ「お前は……。」


違男「違男イオだ。今は……このブロックの看守を任されている。」


違男は檻の前にしゃがみ込んだ。
対面するかのように、壁に背中を預けるヨシキに向かって話しかける。




違男「無様だな。お前、WPSの指揮官なんだろう?」


ヨシキ「……変なことを聞くな?だったら、どうするんだ。」


違男「フン、どうもしないさ。指揮官だろうと一般兵だろうと、
   捕虜になったら関係ねえ。捕虜は捕虜だ。」


違男はそういうと、レッグポーチから何かを取り出した。
あれは……クッキーだろうか?




違男「どうだ、食うか?」


ヨシキ「……いや、今はそんな気分じゃない。」


捕虜にクッキーを差し出すとは、一体何を考えているのだろう。
このような状況で、とてもそれを食べる気分にはなれない。
きっと、レニウスが今の自分と同じ立場なら喜んで食べていたのだろうが。


違男「……そうか。」



もさもさとクッキーを食べ始める違男に、ヨシキは問いかけた。



ヨシキ「ここは……どこだ。」


違男「さぁて、どこだろうな。少なくとも、大時空軍の本拠地じゃぁないぜ。」


ヨシキ「……俺を監禁する理由は何だ。
    ウイルスコアは…大時空軍はバックアップを手に入れた。
    もう用済みなはずだろう。なぜ殺さない?」


違男「なんだ、リーダーの癖に、そんなことも気づかないのか?
   フン。いいだろう、教えてやる。お前は言わば“エサ”だ。
   こうしてチラつかせておけば、他の奴らを簡単におびき寄すことができる。
   どうせなら、まとめて潰したほうが効率がいいし、そもそも殺してしまったら、
   面白くないだろう?」


ヨシキ「……。」


違男「……それに、お前には逆探知能力があると聞いた。
   大時空軍の連中、きっとその能力で根城がバレるのを恐れてんだ。
   そうでもなければ、わざわざこんなところに、監禁する場所なんて設けねぇ。」


ヨシキ「……なら、試してみるか。」


違男「フン、雑魚どもの与太話だと思っていたが、まさか本当にそんな能力が?
   ま、せいぜい足掻いてみろ。結果を楽しみにしているぞ。」


と、立ち上がる違男。



ヨシキ「待ってくれ。お前はどうして、俺にそんなことを……?」


違男「あ?」


ヨシキ「今この状況では、俺とお前は敵同士のはず。
    それなのに、どうして俺にいろいろ教えてくれるんだ?」


違男「……只の戯言だ。深い意味なんてねぇよ。
   まあ強いて言うなら……そうだな。
   お前らみたいな面白い奴は、嫌いじゃねぇ。
   それだけだ。」


ヨシキ「フッ……奇遇だな。俺もお前のような奴は嫌いじゃないんだよな。」


違男「……邪魔したな。」


その言葉を最後に、違男は独房を後にした。



〜〜



違男「……フン、妙な男だ。」





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♪gate to sanctuary
from 3104式

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