オープニング
〜魔王リリス〜




「・・・」

辺りは暗く、遠くにも何があるのか分からない。
先ほど俺がどの世界にいたかまったく覚えていない。
気が付いたらこんな場所に倒れていた。

俺が世界から世界へと飛ぶ理由は、どこかの迷惑な誰かが世界をごっちゃ混ぜにしたせいだ。
WPSという武装集団がその世界を元に戻すために俺に協力を求め、俺が世界を回るという事態に至っている。

ここまではいい。


だが、今回の場合は何かが変。
普通ならWPSの幹部が横に付き世界での行動などを説明してくれるはずなのに、
現在見渡す限り人の気配など微塵にも感じれない。


第一、数多の世界を回った俺でこそ語れることだが、これほど周囲に何も存在しない世界は生まれて初めてだ。



正男「誰かいないか!?」


大声で人を呼ぶが、声が辺りに虚しく響くだけで返事が返ってこない。
諦めて彼らの助けを待つことにしたが、一向に変わる様子はない。

そろそろ行動に出るべきか?



カサ・・・・・



俺は咄嗟に剣をつかみ、背後に一閃加えた!




?「っと・・・」

ガキン!

俺の剣と何者かの武器がぶつかり、金属音が辺りに響き渡った。


?「洞察力は流石とでも言えようか・・。」

正男「殺気がびんびんだったぜ・・。 
   気がつかない方もおかしいくらいにな。」


?「殺気? いや? 俺はお前と手を・・・」

正男「何をいまさら。 ならその剣は何だ・・・・・?
   何故こっちに向けていた?」


男が構えている長剣は鈍く輝いた。
よく見ると赤に染まりきっている。

正男「何人も殺した剣なんだろ?」

?(ルドア)「ご名答・・なら話が早い。
        勝負だ。」

殺気に満ち溢れたその目は、正男を目をじっと見つめていた。

正男「俺は殆どの世界で無敗だ。残念ながらお前に負ける根拠なんてないな。」

正男は余裕そうに、ルドアを嘲笑った。
直後、戦闘態勢に入る。


ルドア「そうか。なら・・。」


ルドアは瞬時、右手の剣で正男を突き刺そうと足を一歩踏み出した。


正男はそれを右に避けるとルドアの心臓を標準にし、火炎を放った。

距離は1メートルもない、ルドアはもう詰んだ。
そう正男は内心さとったが…。


ルドアはとっさに後ろからもう一本の剣を取り出し、剣を盾にすることで火炎を防いだ。


正男「なっ・・・!」


ルドア「・・・・・・」

正男「・・お前の反射神経どうなってんだ・・?」

正男は力の限り、それもあの短距離で攻撃を放った。
確かにはずれはしなかったが、それよりも敵がその攻撃を防ぎきったことに唖然としていた。

ルドア「ただ実力の問題だなw  
    で、必殺技は使わないのか?とっておきのな・・。」


正男「必殺技だ?」

ルドア「そうだ、必殺技だw
    お前の技など見るに堪えんがな・・」


正男「糞野郎・・・・!舐めるなよ…?
  インフェルノ・エクスプロード!」



正男は剣先をルドアに向けるとそこからルドアの身長もを超す
壮大な炎がルドアを包み込もうとしていた。



ルドア「覚えた・・・・・w 
    インフェルノ・エクスプロード!」



正男「なっ・・・」


ルドアは宣告通り、右腕のみで正男に攻撃を放った。
そしてその攻撃の大きさは正男の放った攻撃より巨大。

約2倍はあるだろうか、正男は死を覚悟し、自分の弱さを改めて実感した瞬間だった。


当然の如く、彼の攻撃は正男が放った″インフェルノ・エクスプロード″を包みこみ、消滅させた。
一応威力を落ちたものの、正男に接近していることは間違えはない。


正男「インフェルノ・シールド!」

速攻で正男の周囲に赤色の膜を張り、それはルドアの攻撃を全て無効化した。

正男「(シールドを外したら・・・死ぬ・・・)」

正男は死を覚悟していながらもしっかりと目を閉じずにいた。
だが実質開けていても意味がない。

理由はお互いの攻撃により辺りに砂埃が立ち込め、彼の視界を防ぎきっていたからだ。

それよりも正男は気になっていたことがある。

"アイツが攻撃してこない"・・・

ただこれだけのことだが、俺を仕留めたいなら追い打ちをかけてきてもいいはずだ。

正男「(何故攻撃してこない・・?)」


正男が少し、安心したとき話し声が聞こえた。
だがまだ砂埃のせいか、姿は見えない。


?「やはり相手を殺すことを躊躇っているようですね・・・ルドア」

正男「(躊躇う・・?)」

ルドアの声「・・・ライか、貴様さえいなければ計画通りだというのに」

?(ライ)「ルドア・・・、君はあまりにもミスを犯しすぎた」

ルドアの声「とか言って動揺させるつもりか?」


ルドアではない方の声の持ち主は以外に俺と知り合いで、頼もしい人間の声だ。
会話から察するに二人は敵同士、一難は如何やら逃れたらしい。


砂埃が全て消え失せ、ルドアと目があった。

それと同時に、ライと呼ばれる男は
何も無かったかのように正男の方へと歩いた。


ルドア「ん・・・? 決着をつけないのか?」

ライ「任務が優先なのですよ。
   生憎私は彼を救う任務を任せられたので。」


ルドア「そうか、俺は奴からお前らを殺せと言われたんで帰られたら困るな・・・」

ルドアは剣を上に向けるとそこからは数え切れないほどの炎が周囲に降り注いだ。

正男「危ない・・!早くこのシールドの中に・・」

正男はライをシールド内に連れ込もうと、必死で彼の元に走った。

だがライはそんな彼の思いを無視し、ルドアの方向へと走った。


正男はこのままでは攻撃を受けることとなったので、ライの行動を信じつつ
自分の周りだけにシールドを張り直し、後ろに素早く後退した。



するとライは右手からすざましい威力の波動を放ちながらルドアの元へと進んだ。

ルドアはそれを避けるように高く跳躍し、ライの背後に回ると剣でライの頭を狙い一閃加えた。

ライ「単純な攻撃・・・」


その時、ルドアの2本の剣とライの張ったシールドがぶつかり、火花を散らした。

現在、互いに一歩も引く様子はない。
彼らの実力はほぼ互角なのだ。


ルドア「ちっ・・・やはり一筋縄じゃいかねえな」

ルドアはライのシールドを破壊しようと、先ほどより力を加えた。

ライ「私たちWPSをそこらへんの幹部と同じレベルにしてもらっては困ります」


ライはシールドを一時的に解除すると、勢いよくシールドを削ろうとしていたルドアはライの方向へバランスを崩した。
目に見えない早さでルドアに素早く攻撃を与えると、ルドアは再び後ろによろめいた。

ライがまたその隙に攻撃を放ったが、ルドアは背についた翼でライの真上に飛んだ。
ライはそのことを予想していなかったため彼の飛行に気がついたのはライがルドアの真下にいる瞬間だった。

無論ルドアはライを本気で殺そうとしていたため、ライの頭を狙って2本の剣を突き刺した。
だが、ルドアが攻撃態勢に移った時にはすでにライはルドアの位置を把握していたためライはとっさに真上に属性攻撃を放った。


ズガアアアアン!


爆風が二人を襲った。
だが二人はびくともしていない。



ライ「なかなかやりますね・・・
   私に攻撃を与えられる人間は貴方くらいだ」

ルドア「攻撃を与えるっても今のはお前の技の爆風だろうが・・。
    それに、褒めてくれるのは結構。
    だが俺はお前が死んでくれた方が嬉しい。」


ライ「(このままでは面倒だな・・)」

ライは瞬間移動で正男のバリア内に入ると、正男の服の襟をつかみ。再び瞬間移動をした。

正男「お・・おい!」

ライ「・・・少し適当な場所に飛びます」

ライは正男とともにどこかの位置に瞬間移動。
彼は″正男を救う″という任務を優先し、適当な場所へ移動したのだ。

残されたルドアは不機嫌そうに、何者かと連絡を取っていた。


ルドア「まさかこの世界に奴がいるとは思わなかった。」

??「まぁ・・私やブライアンも加勢し、あの能力を使えば・・・・奴らなど敵ではないだろう」

威圧感のある声が、ルドアのもっている無線から響いた。
半分やる気のなさそうにルドアはこう返事した。

ルドア「まぁ、そうだな。」

??「いくらライとやらがこの世界を出ようとあがこうが、私の張った結界で出ることはできない。
   私死ねば出られるが・・・。まぁ間違えなくそんなことはないだろうな・・・」


ルドア「(こいつが死ねば・・・出られる・・・・かw
      この世界で可能な限り技を覚えれるな・・w)」


??「どうした・・ルドア・・?」


ルドア「いや、なんでもない。 取りあえず俺はライの行方を捜す。」

??「いや、それはよしておけ、私が挨拶に行こう」

ルドア「そうか、なら俺は何をすればいい?リリスよ・・・。」

??(リリス)「ククク・・・
   昨日説明したように。この世界には浩二やらザトシやら・・・鬱陶しいメギュラーメンバーが何人かいるんだ。
   そいつらを徹底的に潰してくれ。」

ルドア「(こいつ、何を考えている?俺の人柱を潰させようとしてるのか・・)

   ・・・了解」

リリス「なら、検討を祈る・・・」



リリスと呼ばれた人物はは無線を切ると、大地を削りながら気配のする方向へ進んだ。






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ライ「この世界出られないようですね・・・」


ライは半透明の障壁を人差し指で2度ノックした。

正男「変な障壁が・・これ割れないのか?」

ライ「ルドアの魔力であることには間違いありませんが、この障壁は彼の魔力より高い。
   すると彼の協力者がいると推測できますね。」

正男「・・・」
正男はうなずきながらも、下を向いていた。

ライ「どうしました?」

正男「いや・・・済まないな、戦力になれなくて。」

ライ「まぁ、私は任務を遂行できれば何も問題がありませんから大丈夫ですよ。」

正男「(そういう問題なのか・・・?)」



ドドドドドドドドド・・!


その時、地響きが訪れた。

削れた大地が正男達の頭上へ降り注いだが、無論彼ら二人はこの事態に咄嗟に反応した。


正男「フレイムシールド!」

ライ「・・・(手を上にあげてシールドを張る」

土砂は全てシールドをはねのけ、横に散らばった。
直後ライは縦3メートルほど積った土を人差し指から放たれた魔力で全てを吹き飛ばし

″地響き″の根源である何者かを見つけることができた。


?「クククククwwwww」

ライ「(巨大だ・・・ それに魔力もかなり優れている・・ 
    これは人間か…?)」

正男「な・・・何だお前・・・!」

?(リリス)「私はデスリリスに所属する。魔王リリスだ!!」

正男「魔王・・というよりか、姿形は女性にもみえなくはないんだが。」

リリス「黙れ!!」

リリスは口から大量の酸を吐きだした。

正男「うわっ・・酸が迫ってくるぞ!!」

ライ「後ろは障壁で、逃げ道は無い。」

正男「・・・」

リリス「ぶあーーーーっはっはっは!!!!!
     醜く溶けるがいい!!」

そう言った直後、再びリリスは口から大量の酸を正男達の上から浴びせようと酸を吐いた。


その時・・・。

「兄さん危ない・・!!」


聞き覚えのある声が、当たりに響くと。
リリスの顔面に弾丸が2発食い込んだ。

リリス「弾丸など・・・聞かぬわ!!」

声のする方へと口から火炎放射を放った。

すると青年は高く跳躍し、リリスの巨大な目に1発蹴りを加えた。
リリスは慌てて地面をたたくと、土砂が噴き上がり、少年を襲った。


正男「浩二!大丈夫か!?」

?(浩二)「っ・・・」

浩二は空中でバランスを崩し、地面にたたきつけられると土砂が上から大量に降り注いだ。
その後、彼は土砂に塗れ、動くことが不可能となった。

浩二「ぐ・・」

リリス「生意気な野郎だ・・・」

リリスは土砂を掌で押しつぶすと埋れていた浩二に圧力がかけられ、ダメージを与えた。

リリス「私に勝利しようなど・・・1000年早いわ!!!」

巨大な拳を浩二の顔面を標準に振りおろそうとした。
刹那、リリスの背後からとても重い一撃が加わった!


リリス「今度は何だ!!!」

リリスが振り向くと、そこには空中を浮遊しているライの姿が。

ライ「・・・・」
ただ無表情で、ライはリリスの行動をうかがっている。

リリス「くそぉおおおお! ちょこまかと動き追って・・!」

リリスがライを握りつぶそうとした時、酸で溶かされる寸前まで追い詰められた正男がこう叫んだ。

正男「おーい、ライ!助けてくれぇ!」

刹那、リリスはライを握りつぶそうとしたがあまりにも彼の移動速度が速くつかみ損ねることとなった。

彼は正男の元へ浮遊しながら戻ると、正男を背負い浩二の元へ。

浩二の土をすべて魔力で消し去り、浩二をつかむと瞬間移動で別の場所に消え失せた。
この間、たった3秒の話。



リリス「逃げたか・・・ まぁいい、どのエリアにも私の配下がいるのだ。
    逃げ道など、存在しない・・ましてやこの障壁がある限りはな・・・
    さて、私は飾り気ないこの世界に適当に何かを建てるとしよう・・。」



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浩二「ふぅ、今度は城のような場所に出たね。」

正男「ああ・・それにしても浩二、なんでお前はここに?」

浩二「気が付いたらここにいたんだよ・・」

正男「やはり俺と同じ経緯か・・・訳が分からないな・・・というより、分からないといえば何故ここにライはこれたんだ?」

ライ「普通に外から入れる仕組みになっているようですね。
   もっとも、中に入ると2度と出られませんが・・」

正男「”2度と”だなんて物騒な・・・・・・ん?」


?「うひひひひひっぃいひぃぃ☆」



その時。半裸で気持ち悪い男が、奇声をあげ正男の上から降ってきた。

正男は一歩後ろに下がると、半裸の男は、全身が地面に叩きつけられた。


?「ぐばぁああああああ!」

ライ「・・・・」

浩二「半裸とか・・・」

正男「大丈夫かお前・・・」

?「黙らっしゃい☆ お前をいまからぷっころちゅ☆」

正男「・・・・」

?「行きんしゃい☆平助とクラックぅ!!☆」

半裸の男は魔力で左右に黒い渦を造り出すと、そこから人間が出てきた。


??(平助)「何だここは・・ん・・?」


平助と呼ばれた男は、黒き渦から出てきた刹那、正男と視線があった。
刹那、緑色の槍を正男に方向に構えた。

正男「くっ・・・」


???(クラック)「お前は浩二か・・・w」

クラックと呼ばれた男は軽く余裕そうに、浩二を嘲笑った。

浩二「・・・ク・・クラック!?」

浩二が彼を恐れる理由、それは一度クラックに半殺しにされた事が経験があり。
クラックの実力を誰よりも知っている存在だった。


正男「・・・平助・・?
   なんでこんなに強い奴らがいっぺんに出てくるんだよ・・・!!」

正男は慌ててライに問い詰めた。

ライ「詳しくは分かりませんが・・・如何やら外から入れる理由はこれでしょうね。
   このままこの世界が混雑すると元の世界に支障が・・・どうにかしないといけませんね・・」

浩二「敢えて外から入れるようにすると敵を召喚できるってことか・・なるほど・・よく出来ているなぁ。」

?「ぶひょひょひょwww 
  このブライアン・スーパーパワーを使うことによりこの世界に敵を召喚することができるんやー☆
  我が手下どもよー☆ そこのウンコマンを半殺しにするんやー☆」


平助「は・・・・手下だと・・?」

平助は?に近づくと首を絞め右手で彼を持ち上げた。

?「スイマセン・・・」

半裸の男は虚しい声で謝ると、平助はつかんでいた手を離しこう切り出した。

平助「だが・・・このまま戦わないのもつまらないよなぁ・・・?正男・・?」

正男「くっ・・・仕方がない・・・。」

?「ちょっと待ちンシャイ!☆」

平助「何だお前・・・・今度は殺すぞ・・?」

?「えっと・・はい・・・できれば平助・・いや、平助しゃまには向こう側での戦闘を希望したいのですが・・」

平助「・・・・まぁいいだろう、ここで戦っては不正が起きるかもしれないしな・・来い、正男」

平助はゆっくりと。槍を引き摺りながら北の方角へ進んだ。
それに続いて正男も彼の後を追った。

〜


ライ「ところで、貴方は何ブライアンですか?」

ライは半裸の男にそう聞いた。

?「フフ・・ぼくが天才で最高のブライアンさ。
  将来は・・・ジャニーズかなぁ・・☆」

ブライアンはポケットからブラシを取り出し髪の毛を整えようとした。
因みに髪の毛は1本も生えていない。


浩二「(いや、半裸で髪の毛がないとか無理だろ・・)」

ライ「ブライアン・・・貴方その魔力・・誰から伝授した?」

?(ブライアン)「リリスからや〜☆ フフフ☆」

ライ「(リリスから・・・?)」

クラック「で、浩二。 
     どうだ?怖気ついたか・・・?」


浩二「勿論勝負・・・だ!」

浩二は固唾をのみ、2丁の拳銃を握り締めた。

クラック「上等上等w
     行くぞ・・エレキアロー!!」

〜

クラックと浩二の戦いが始まった時、二人の男がその場に残された。

ライ「敵なら取りあえず邪魔なので眠っていただきましょうか」

ブライアン「うひひひ☆ ワイのフェンシングを舐めてもらったら困るんやね☆」

ブライアンはズボンに挟んであった長銃を取り出した。

ライ「フェンシング・・・?それは鉄砲ですよ」

ブライアン「黙れりンシャイ☆ ″フェンシング☆ザ☆毒パンツ!!″」

ブライアンは跳ねながらライの元へ突進した。

ライ「(これをどうやって殺さずに勝つか・・・・これはこれで難題か。)」 







♪魔力の根源 from 般若's MIDIの里

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