中間ストーリー42
〜クロスオーバーロード〜
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正男「ふぅ、何とか片付いたか」


何とかモンスター達を倒した正男たちは安堵する。


ニオブ「全く・・・あの黒い球体、とんでもねえ堅さだった。俺の炎の拳でも一匹ずつしか倒せやしない」


浩二「そういえばこいつら、街中にはこれだけ人がいるってのに俺ら4人にだけ襲い掛かって来たよね?」


とはいえ、正男たちが戦っている間にもう既に街民はモンスターから離れたところに避難しているので
今は周囲に人はいない。建物の中に避難している人を除いてだが。


キセノン「それがどうかしたか?」


浩二「もしその理由が魔晶石目当てだと考えるなら、キミたちも魔晶石を持っているってことじゃないかな?」


キセノン「察しがいいな、実は俺がいま、氷河石を持っている。」


浩二「やっぱり・・・」


ニオブ「さて、約束だ。お前が何者か、聞かせて貰うぞ・・・」


正男「実は俺たち──」


正男たちは話した。世界混雑が起こっていて、今自分たちが4人が融合していること。
数世界が融合した幾つもの世界を旅してきたこと。
そしてルドア達の存在・・・。

ニオブたちは世界混雑のことやWPSの存在については知っているようだったが
正男たち4人がその中で世界を救う、たった1つの可能性である存在であることについては信じていないようだった。


ニオブ「ますます胡散臭ェな・・・キセノン、貴様はどう思う?」


キセノン「ふむ・・・彼らが嘘を言うような人間とは思えないが、どうも信じがたい話だ」


???「彼らの言っていることは本当よ」


ニオブ&キセノン「ミハリア皇女!!」


ニオブ「お帰りになられていたのですか!」


正男「ミハリア!!・・・て、皇女・・・え・・・?お前、皇女だったのか!?!?」


ニオブ「呼び捨てにしてんじゃねぇよデコピン野郎」


キセノン「いや、そこはデコ助だろ?」


ニオブ「そんなのはどっちでもいいが、更にはお前呼ばわりか?謝れ!!皇女に大して無礼だぞ!!」


ミハリア「いえ、いいわ・・・隠してたのもまた事実だし。」


ニオブ「そうですかわかりました(棒読み」


浩二(ミハリアのこと尊敬してるのかしてないのか・・・)


ミハリア「いつも思うんだけどニオブって、ほんと昔の私に似てるわね・・・。」


ミハリアはそっと微笑んだ。


正男「は?」


ミハリア「実は私、今はこんなだけど、結構大人になるまでは男みたいな口調で気性も荒かったのよ。
      今はWPSにも入ってるけど、全然頭も悪かったし」


と、ミハリアは少し恥ずかしそうに苦笑いしながら正男達の方を見ていた。


浩二「え?冗談でしょ?」


ミハリア「いえ、ほんとのことよ」


正男「・・・とりあえず、どうしてここにミハリアが?」


ミハリア「実はこの国に帰って来たら父上に魔晶石の事態を聞いたの。
      そのことをWPS中央の仲間に連絡した後、ニオブたちがここにいるって聞いたから・・・」


正男「で、来てみたら偶然俺たちもいたってわけか」


ミハリア「ここじゃなんだし、キライン城に行って詳しい話をしましょう」


正男「え?城?」


ニオブ「ミ、ミハリア様・・・?」


ミハリア「大丈夫。この人たちは信用できるわ。この人たちが例のレギュラーだし」


ニオブ「な・・・なんだってぇー!?」


ニオブは目を丸めて正男と浩二を見比べた。
その瞬間、ニオブの顔つきが変わった。


ニオブ「これは大変失礼致しました!レギュラー殿!!」


正男&浩二「急に気持ち悪いんだけど


キセノン「まるでマフィアのボス10代目を尊敬する人並みの態度の変わり方だな・・・」


ミハリア「何の話?」


キセノン「いえ、なんでも。」


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〜キライン城 玄関ホール〜


キライン帝国兵「お帰りなさいませ!ミハリア皇女!」


玄関に入った途端、一人の帝国兵に出迎えられた。
広い玄関ホールで正男たちの目の前には足元から続く赤いオシャレなラグが敷かれた階段がある。
皇帝の間は2階にあるらしく、そこに向かってメンバーはミハリアを先頭に歩き出す。


赤いラグが敷かれた廊下をしばらく歩き、その一番奥にいったところに、大きな扉。
廊下を歩く途中にも扉は幾つかあったがその中でも一番の存在感が漂っている。いかにも皇帝の間の入口らしいといったところか。


ミハリア「失礼します、お父様」


扉を開けて中に入るとそこも広い部屋だった。
正男たちから見て真ん中の奥の壁際には王座があり、そこに皇帝が座っている。


キライン皇帝「早かったな。彼らはWPSの仲間か?」


皇帝は正男たちを指す。


ミハリア「いえ、彼らはレギュラーのうちの2人」


キライン皇帝「ほう・・・」


正男「俺の名は正男だ。」


浩二「弟の浩二です。宜しくお願いしまーす」


正男「その言動からすると、どうやら俺たち"レギュラー"やWPSのことは知っているようだな。
    俺たちは今、世界混雑を治めるために1つ1つ世界を旅している。」


浩二「国民がWPSの存在を知っているということは、世界混雑の発端はこの世界から始まった可能性もあります。
    まずはこの世界のことを教えて貰えませんか?」


キライン皇帝「この大陸には国が幾つかあるが、その中で代表国の1つがここ、大陸東部にあるキライン帝国だ。
         簡単に言うと、ここは魔術に特化していて、魔術の勉強に留学してくる若者も多い。」


正男「クロスオーバーロードとやらについても教えて欲しい。
    ニオブとキセノンがそれの一人らしいが、"共演の道"とは一体どういうことなんだ?」


キライン皇帝「共演の道(Crossover Road)ではない。十字架の領主(Cross Overlord)だ。
         簡単に言うと、クロスオーバーロードとはキライン帝国の秩序を守るための魔導士の集う組織のことだ。」


ミハリア「あ、今頃説明する必要はないとおもうけど一応説明しておくわね。
      魔導士っていうのはね、この世界で魔術を使う人のことを言うの。」


キライン皇帝「クロスオーバーロードには部隊が幾つか存在するが、それぞれの部隊の隊長を務めるのがこの2人というわけだ」


浩二「なるほど」


キライン皇帝「現在のメンバーは4人。
          国家軍事長ニオブ監獄管理長キセノン治安維持長コバルト魔晶石管理長セリウムだ。」


正男「何で監獄管理長がニオブと一緒に行動してたんだよ・・・。」


キセノン「ん?あ、ああ、それはな・・・えーと・・・怪しい奴がいると聞いて駆け付けたんだよ。
      断じて監獄の見回りをサボってニオブと遊ぼうとか考えてたわけじゃないぞ」


キライン皇帝「そうかサボってたのか」


キセノン「・・・・・・。」


キセノン「まあ、そんなことよりも・・・」


キセノンは動揺の汗をかきながら話題を変えることを訴えるようにニオブの方をみやった。


正男(あ、ごまかした。)


ニオブ「魔晶石の存在はこのキライン帝国において王族とそれに仕えるクロスオーバーロードの者しか知らない。
     その魔晶石の存在を何故貴方がたたちが知っているのですか?お教えくださいませ。」


正男「その喋り方やめろ気持ち悪い


ニオブ「すまん・・・」


正男「実は、ブラック・ヴァイパーって奴が火炎石を持っていたんだ。」


キライン皇帝「はて・・・ブラックヴァイパー・・・?聞いた事がないな」


正男「奴は言ってた、今まさに魔晶石を狙ってこの国に来ている奴が沢山いると」


キセノン「ということは、もはや誰が魔晶石の存在を知っているか、というのは既に問題じゃなさそうだな」


ニオブ「馬鹿な!!じゃあ誰かがバラしてるっていうのか?」


浩二「バラすにしても違う世界の人間やモンスター達もが知っているっていうことはそんなことが出来る人間って限られるよね」


正男「まさか・・・ルドアか!!」


キライン皇帝「奴がこの世界混雑の黒幕らしいな。まさか彼があんな力を手にするとは・・・」


ミハリア「いいえ、それだけじゃありませんお父様。そのルドアとエリスの他にも、ジオン補佐官もルドアの仲間でした。」


皇帝・ニオブ・キセノン「何だって?」


正男「ジオン・・・?まさか、WPSで2番目に偉いっていう?」


浩二「僕たちは会ったことないけど、まさかWPSに内通者がいたなんて・・・」


ミハリア「ラルズ総監は感づいていたみたいなんだけど、惜しくも仕留められなかったのよ・・・」


キライン皇帝「そうか・・・」


皇帝はどうやらショックだったらしい。
年齢は分からないが、恐らくラルズ総監と同じくらいの年齢だろう。
そこから考えると友達同士だった、ということを察することもできる。
その彼と一緒に仕事をしていたジオンが裏切り者だったのだ。肩を落とすのも無理はない。


キライン皇帝「ニオブ、キセノン・・・ここからは長くなる。席を外して魔晶石捜索を続けてくれ」


ニオブ&キセノン「了解」


指示を受けた2人は関を外し、皇帝の間から退室した。
扉が再びしまったところで、正男が静かに口を開く。


正男「ちょっと聞きたいんだが、どうして皇帝たちもルドアの事を知っているんだ?
    この世界の出身なのか?」


キライン皇帝「キライン帝国生まれかどうかは分からないが、この世界の出身であることは間違いないだろう。
         彼の血筋であるディストリア一族は代々この世界で有名な殺人鬼だ。先々代は『銀髪の殺人鬼』とまで呼ばれていたらしい。
         100年ほど前の話だがな。」


正男「先々代ってことは、ルドアはその銀髪の殺人鬼の孫ってことか?」


キライン皇帝「左様。本名ロベルス=ディストリア・・・通称ルドア。
         彼自身は殺人鬼ではないが、仮にもその殺人鬼の血が入っているのは事実。
         他者の技を覚える能力を身につけて、無数の魔術を覚えようという欲が出てくるのは何ら不思議じゃない。」


正男「しかし、その『他者の技を覚える能力』自体どこから・・・?」


ミハリア「・・・。」


キライン皇帝「それが分からないのだよ。仮に一人の人間が9つの魔晶石の力を取り入れたとしても
         所詮は9つの属性を持てるだけのこと。他者の魔術を見ただけで覚えるなんてとても不可能だ」


浩二「そういえば、ライも他者の魔術を覚える能力を持ってるんじゃなかったっけ?
    その威力は半分以下にも満たないみたいだけど」


正男「まさか、それと関係が・・・?」


キライン皇帝「ライ・・・・・・・はて、どこかで聞いたような・・・」


キライン皇帝はしばらく首をかしげた後、少しずつだが目を丸くし、やがて勢いで王座を立ち上がる。





キライン皇帝「まさか、ラフェンダス=レイティヴ・・・!!奴に会ったのか!?



浩二「な・・・!!いきなりどうしたんですか?!」



浩二が皇帝の反応に驚いている中、とんとんと軽く肩を叩かれる感触があったので振り向いてみると
正男が皇帝に気付かれぬよう、静かにミハリアの方を見やっていた。



ミハリアの顔面が皇帝の死角になるよう、こちらの方向を見ている。
彼女は少し泣きそうな顔になりながら首を横に振っていた。



───『お願い、彼がWPSであることは言わないで』───


まるでそう言いたげだった。


きっとわけありなのだろう。
そう察した正男と浩二は『あくまでも旅の途中で何度か会った』という内容で皇帝に話した。





キライン皇帝「そうか・・・彼が・・・」


浩二「あのー・・・考え込んでる中申し訳ないのですが、彼は一体・・・?指名手配もされてますし」


ミハリア「彼は、私の幼馴染なの。」


正男「何?そうなのか?」


ミハリア「全て、話すわ。私の過去も一緒にね。」



ミハリアは静かに語り始めた。
皇帝もいるのでライが現在WPSにいるという事実を伏せた上で全てを話すのだろう。



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